Mick沢口

ADL 700

1チャンネル・ハイボルテージ真空管チャンネル・ストリップ



Color As It is|Tomonao Hara Quartet
Mick沢口氏がADL 700で録音
制作秘話に加えて、ADL 700で収録した「Color As It is」からGaugeのサウンド・サンプルも試聴可能。柔らかさと解像度を両立したハイレゾ・サウンドをオンラインでご体感ください。
Color As It is|Tomonao Hara Quartet



製品紹介ビデオ
feat. クリス・ルブラン
サウンドをオンラインで体験!ADL 700とBlueマイクロフォンKiwiだけによる未編集/未加工の一発レコーディング。そのサウンドをノンフィクションで
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Mick沢口|UNAMASレーベル、サウンド・プロデューサー


“レンジの広さ、そしてダイナミックスの広いサウンドを無理なく収められるのが魅力”

私が独立したマイクプリに興味を持ったのは、1990年のアメリカの業界紙RepにJohn Hardyが寄稿した「外部マイクプリのメリット」という記事でした。 コンソール内のマイクプリと何が違うのだろう?と思ったからです。最初に使ってみたのは、AVALON AD 2022という2CHのマイクプリでした。その後John Hardyが制作しているM-1というJensenのトランスと専用オペアンプの回路を復活させたマイクプリや、Drawmmer 1960を使っていました。本格的に使い始めたのは、UNAMASレーベルでハイレゾの録音をやるようになってからで、Pyramix DAWにAES接続して16CHのレコーディング・システムを構築してからで、Mackie ONYX 800R /RME OctaMic-2 /TLAudio A-1という基本が出来上がりました。それ以外ではGRACE Design m-801もいいですね。

2013年暮れにVo録音をやることになり、私は、あまりVo録音がうまくないので、よく歌い手の予想を外してゲインオーバーになりピークでチリチリと歪むという苦い経験を何度もしたので、レンジが広く、かつDrawmmer1960のように録音時に軽めのコンプレッションもできるマイクプリを探していたら、PreSonusからADL700が登場したと聞いたので、これをVoやブラス楽器の録音専用として加えました。

POPS系の録音を専門にするエンジニアの友人などは、マイクプリを楽器に最適化した音作りのツールとしていろいろなマイクプリを選択しているようですが、私の場合の音作りは、マイクの選択とマイク・アレンジで固めてしまいますので、マイクプリはクリーンでレスポンスが良いことが優先になります。ただし、私の録音はJAZZ系が多いため、録音中に各楽器のレベルをイントロやソロパート、また掛け合い演奏などでリアルタイムにコントロールしていますので、ゲイン調整の機構は連続可変タイプが望ましいのです。最近の高級機は、抵抗アッテネータを採用したり、MIDIでマウスリモートといった形体が多いため選択肢が段々狭くなってきました。また音質には関係ありませんが、リアルタイムでコントロールする上でつまみの視認性も重要です。すぐ手がそこへ行くということが大切です。そうした録音をしておくと、MIXの段階で細かくエディットする必要が無く、結果CPUの負荷も軽くなり、音質面でも有利だと思っています。

ADL 700を使用した作品のひとつは、「Reflections」という小泉やよいさんのVoをメインにしたトリオの録音(192-24bit)、もうひとつは、アルトサックスの松井宏樹カルテットの「Koki Matsui 4 Live at UNAMAS」です(ハイレゾLiveシリーズの第1弾としてリリース)。

「Reflections」のVoにはPreSonus ADL700を使用し、それ以外はGRACE Design m-801という組み合わせです。松井宏樹カルテットでは、As axにPreSonus ADL700を使い、それ以外はRME Octmaic2/TLaudio A-1/ Mackie ONYX 800Rという組み合わせです。ADL 700を使用して感じたのは、圧倒的なレンジの広さですね。真空管回路を+/-300Vでドライブしているので、ゆとりのあるドライブができますので、VOやブラス楽器のようなダイナミックスの広いサウンドを無理なく収められる点を注目しました。JAZZ系ではVOもひそひそ声から突然シャウトしたりとダイナミックスが広く、サックスもバラードとアップテンポではダイナミックスが広いので、こうした目的にはいいと思って使っています。


※PreSonus ADL700でアルトサックスを収録したUNAMASレーベルのハイレゾLiveシリーズ第1弾「Koki Matsui 4 Live at UNAMAS」からMy one and only loveのサウンド・サンプル。そのエネルギー感あるサウンドをご体感ください。

ADLでは2CHタイプのADL600というモデルがありこちらも魅力的ですが、先ほども述べた様にピークでチリチリと歪ませてしまうのを恐れてコンプレッション機能がついたADL700の方を選択しました!またノブが大きく、ゲインコントロールも連続可変なので、リアルタイムに調整するのにも最適です。VOやブラスの質感も大変色気を感じるサウンドだと思います。このコンプレッサーも使い易く、今回は1:2程度と軽めのレシオで使っていますので音質面でも大変自然です。メーターも針式で大きく見易いので、動作がすぐ把握できるのは嬉しいですね。私はやりませんが、本機を音作りで使いたい場合には、IN PUTレベルコントロールとMASTER OUT PUTレベルの両方がついていますので、入力段で歪み感を出しながらマスターゲインで適正レベルを保つといった積極的な音作りも可能だと思いますよ。

録音時に歪まないレベル設定をしたら、後はいじらないでMIXDOWNで細かくエディットしていくという方法を取るエンジニアもいますが、私が録音時にゲインをリアルタイムに調整し続ける理由は、録音中にミュージシャンの気持ちと同期してレベルをコントロールしておくのがいいと思っています。いわば、ダイレクト2CH録音と同じような気持ちと緊張感でレベルをコントロールした音は、後で聴いても音に生命力があると思っています。

もうひとつの理由は、シンプルなMIX作業を心がけて、DAWによけいな負荷をかけないでMIXをしたいためです。録音の段階で最適と思うレベルコントロールをしておくと、MIX時にはほとんどフェーダーを動かさないでも、ツライチに上げただけでほぼ完成バランスになります。私の場合は、使用するチャンネル数が20トラック程度とPOPSの制作に比べシンプルですので、そうしたやり方が通用しているのかもしれません。私が参考にしているアル・シュミットの方法もジャンルを問わず録音時にベストを尽くし、MIXはわずか数時間で終わるそうです。

今回の作品のMIXに立ち会ったミュージシャンも声のリアリティやSAXのエネルギー感を喜んでくれましたし、なにより音楽全体の構築度、すなわちメインの要素がドーンと居座ってその周りをサポート楽器があるというバランスの良い構図が実現できたのは、ADL 700という重戦車のようなマイクプリの存在が大きいと思います。UNAMASレーベルからリリースされる作品で是非そのサウンドをチェックしてみてください。

取材協力:UNAMASレーベル音響ハウス
PHOTO:Mick沢口、エムアイセブンジャパン|マーケティング



Mick沢口

Mick 沢口|沢口音楽工房代表/サラウンド寺子屋主宰

1971年千葉工業大学 電子工学科卒 同年 NHK入局 ドラマミキサーとして「芸術祭大賞」「放送文化基金賞」「IBC ノンブルドール賞」「バチカン希望賞」など受賞作を担当。1985年以降はサラウンド制作に取り組み海外からは「サラウンド将軍」と敬愛されている。2007より高品質音楽制作のためのレーベル 「UNAMASレーベル」を立ち上げ、さらにサラウンド音楽ソフトを広めるべく「UNAMAS-HUG/J」を2011年にスタートし24bit/96kHz、24bit/192kHzでの高品質音楽配信による制作およびCD制作サービスを行う。2013年の第20回日本プロ音楽録音賞で初部門設置となったノンパッケージ部門2CHで深町純「黎明」(UNAHQ-2003)が優秀賞を受賞するなど、ハイレゾ時代へのソフト制作を推進している。
沢口音楽工房サラウンド寺子屋UNAMASレーベル



Koki Matsui4 Live at UNAMAS

Koki Matsui 4 Live at UNAMAS

本作は期待の若手サックス・プレイヤー松井宏樹をリーダーに、大塚義将(b)魚返明未(Apf)吉良創太(ds)という編成で 2014年3月4日に三鷹「UNAMAS」で行われたステージの模様をライブレコーディングしたもの。 1st 2nd ステージ合わせて10曲が演奏されたがその中から6曲が選曲されている。 親密な空気が漂う中、空間全体が大きなグルーヴで包み込まれるような素晴らしい演奏を聴くことができる。
Koki Matsui 4 Live at UNAMASの詳細



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