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山田ノブマサ amp'box Recording studio amp'box Recording studio

英国の名門Solid State Logic。言わずと知れたコンソールの老舗メーカーであり、最近ではプラグインやAD/DAコンバーターなどDAW製品でも高い評価を獲得しています。Solid State Logicの新しいプラグイン・スイートであるDuende Nativeをいち早く導入した、LOVE PSYCHEDELICOの作品などで知られるレコーディング・エンジニア山田ノブマサ氏にロング・インタビューを実施。ビクター・スタジオでの長年のキャリアを有しSSLコンソールを知り尽くした山田氏がDuende Nativeの魅力を語ります。

     

滲みやボヤけが少ない派手な音、それがSolid State Logicサウンド

—— 山田さんと言うとNeveやAPIなどビンテージ・アウトボードのイメージがありますが
 僕はビクター・スタジオ出身なので、SSLはもう自分の手足のようなものですよ。それで育ったので、もう目を瞑っても操作できる(笑)。僕の中ではNS-10Mのようなものと言うか、仕事をする上でやりやすく思ったことをすぐに表現できる。SSLのコンソールって良く出来ているんですよ。一番使ったのは、E-SeriesのSL 4000ですね。もちろん、SL 4000Gもかなり使いました。SL 9000JやXL9000Kは、僕がビクター・スタジオを辞めた後に出たコンソールなので、あまり使う機会はなかったですけど、音的に一番好きなのは、E-SeriesのSL 4000ですね。

—— 80〜90年代にかけて一世風靡したSSLのコンソールですがそのサウンドを評するなら?
 ひとことで言うと派手。Neveなんかと比べると、本当に派手なサウンドですよね。色で言うとビビッド・カラーと言うか、中間色が少なくて、赤とか青とか原色よりのサウンド(笑)。滲みやボヤけている部分も少なくて、80年代から90年代にかけての代表的なサウンドを作ってきたコンソールの名機ですね。

 最近はPro Toolsミックスがメインなので、コンソールは外のスタジオで録りの時に使うくらいですね。一時期は、サミング・ミキサー的にSSLのコンソールにパラで出してミックスすることもありました。アナログの質感は欲しいので、今は最終段でSTUDERのテープ・レコーダーに落としているんです。Pro Toolsの中で2ミックスを作ってから落とすのではなく、db Technologies 4496のDAコンバーターを通して、リアルタイムに落とす。そしてその後、再度Pro Toolsに戻すんです。サミング・ミキサーを使うよりもこの方が、利便性とクオリティのバランスが良かったんです。

本物そっくりな利きのStereo Bus Compressor

—— SSLの肝であるバス・コンプレッサーをシミュレートしたStereo Bus Compressorから感想を訊かせてください
 SSLをシミュレートしたプラグインはいくつか試しましたが、これはもう、本物そのまんまな感じ。出来すぎなくらい良く出来ていますよ。SSLのバス・コンプレッサーって、Neveの33609なんかとは違うタイプの本当に独特な利きなんですよ。派手な音で、あれを通すだけで80〜90年代の音になる(笑)。音の元気さが増すと言うか、グッと音が前に出てくるんですよ。また、パラメーターを上手く設定すれば、音圧を稼ぎながらレベルを整えると言うようなピーク・リミッター的な使い方もできますしね。そういったバス・コンプレッサーならではのサウンドが、SSLのStereo Bus Compressorではそのまんま再現されています。

—— バス・コンプレッサーを使用する時はマスター・トラックにインサートされるのですか?
 コンソールでミックスしていた時代はそうでしたね。最終のバスに入れて使っていました。かけ方は楽曲によって違うんですけど、ダンスものなんかではけっこう深くかけたりとか。

 このStereo Bus Compressorは本物そっくりにシミュレートされているあまり、Pro Toolsの中で使うとちょっと問題もあるんですよ。Pro Toolsのミキサーって、ヘッド・マージンが凄く高くバスのレベルが上がっているんです。このデジタル環境で使うと、スレッショルドを一番低く設定しても微妙にコンプレッションがかかってしまう(笑)。アナログの時代はレベルの規制があったので、最後のフェーダーは少し下げめにしていたんですが、Pro Toolsになってからはヘッド・マージンが高いので、クリップが点灯する直前までガンガンにレベルを上げる。そんな中でこのプラグインをマスターにインサートすると、そんなにかかってほしくないのに、けっこうコンプレッションが利いてしまうんですよね(笑)。それだけ本物を忠実にシミュレートしているってことなんでしょうけど、願わくばインプットとアウトプットのトリムを装備してほしかったですね。そうなればデジタル環境での使い勝手は格段に良くなると思います。しかしこのかかり具合とサウンドは、本物そのまんまですよ。SSLのバス・コンプレッサーが好きな人には、間違いなくオススメできます。

—— XL 9000Kのチャンネル・ストリップをプラグイン化したEQ & Dynamics Channelはいかがですか?
 XL 9000Kはあまり触っていないんですけど、SSLらしさはそのままにレンジが広くなったサウンドと言う印象ですね。昔のSL 4000やSL 4000Gって、レンジが狭いと言うと語弊があるんですけど、一番使える帯域によっていると言うか、音楽を作るためのサウンドだったんですよ。このEQ & Dynamics Channelは、SSLのエッセンスがありつつ現代的と言う感じですね。

圧倒的なアウトボード群を備えたamp'box Recording studio

 SSLのチャンネル・ストリップの一番の特長って、僕はオール・イン・ワンだと思うんです。EQはもちろんのこと、フィルター、コンプレッサー、ゲート/エクスパンダーと言う基本的なプロセッサーがすべて入っている。ゲート/エクスパンダーを入れたのは、コンソール全体のS/Nを良くしようと言うところから生まれたアイディアだと思うんですけど、これが当時としてはかなり画期的だったんですよね。コンプレッサーで音を整えることもできるし、ギターのノイズが気になった場合はゲートで切ることもできる。そんな便利なプロセッサーが、すべてのチャンネルに入っていたわけですから。だからEQ & Dynamics Channelも、Pro Toolsの中でかなり便利に使えるプラグインだと思います。

ラブサイケデリコのニューシングルでも使用したVocalstripがお気に入り

—— Stereo Bus CompressorとEQ & Dynamics Channelは実機の回路をシミュレーションしていますが他のプラグインは全てオリジナルのアルゴリズムなんです
 このオリジナルのプラグインがどれも素晴らしい。おそらくほとんどの人は、Stereo Bus CompressorとEQ & Dynamics Channelに惹かれてDuende Nativeに興味を持つと思うんですけど、それ以外のオリジナル・プラグインの方が注目ですよと声を大にして言いたいですね(笑)。それくらい素晴らしいです。

 実を言うと僕はシミュレーションもののプラグインって、あまり使わないんですよ。いかにもデジタルと言う設計のものが好きなんです。アナログ回路では出来ないような細いQが作れるやつとか、バンド数が多いものとか。アナログの質感が欲しい時は、プラグインではなくアウトボードを使った方が早いですよ。僕の場合はずっとそんな感じで、デジタルとアナログを併用したハイブリッドなシステムで作業をしているんです。アナログ機器に執着してるわけではなく、かと言ってプラグインだけですべてを済ませてしまおうとも思わない。

—— それは沢山のプラグインを試した結果でしょうか?
 アナログ・シミュレーションもののプラグインの中にも良いものはありますよ。たとえば、最近のものだとWavesのSignature Seriesとか良いですよね。逆に同じWavesでもAPIをシミュレーションしたThe API Collectionなんかは、僕からするとちょっとイマイチ。思うにSignature Seriesは、ジャック・ジョセフ・プイグやトニー・マセラティといった一流のエンジニアが開発に関わっているからこそ、あのサウンドが出せていると思うんですよ。それに比べてThe API Collectionなんかは、Wavesのプログラマーだけで開発しているから、何かこう「分かってないな〜」って感じがするんですよね。サウンドの中の、エンジニアが好む大切なポイントが抜け落ちてしまっている感じがするんです。

Duende Native
   

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