—— Studio Oneの機能面はどうですか
僕は基本、マニュアルを読まない人なんですけど(笑)、そんな僕でも直に使いこなすことができました。Studio Oneは画面を見れば大体分かるデザインになっているんですよね。ショート・カットに関しても、Logic、Cubase、Pro Tools用プリセットが用意されているので、ほぼノー・ストレスでスイッチできましたよ。
ホワイトを基調としたスタイリッシュなプライベート・スタジオ
もしかしたら他のDAWと比べるとMIDIの編集機能などが弱いかもしれませんが、必要最低限の機能は備わっているので、僕的にはまったく問題無いですね。僕の場合、MIDIデータ云々より、音の鳴り方を重視しているので..。極端な話、同じソフト・シンセでも、音程によって音の鳴り方がまるで違ったりするんです。制作している音楽のスタイルにもよるとは思うのですが、僕が今まで見て来たイギリスのスタジオにはStudio Oneでは不可能な位に細かくMIDIデータをエディットしている人はいなかったですね。皆ごく普通にというよりは、結構大雑把に(笑)DAWを扱っていました。作業も早いし。でも詰めるべきポイントはしっかり詰めているし、そのフローをそれぞれのアーティストが確立しているという印象ですかね。
—— Studio Oneで特に気に入っている機能とは
沢山ありますよ(笑)。何と言っても操作性が凄く良い。ソフト・シンセやサンプルを使う場合、アレンジ画面にドラッグ&ドロップするだけで使えるのはとてもラクですし、トラックにアサインされているプラグインを別のトラックで使いたい場合も、ドラッグ&ドロップすれば同じ設定のままコピーされる。とても地味かもしれませんが、こんな風に感覚的に操作できるのはStudio Oneだけなんじゃないでしょうか。
純正エフェクトではCompressorを多用しています。サイドチェーンがかなり良い感じにかかるんですよ。それからSpectrum Meterは見やすくていいですね。基本的には、メーターは見ないで耳で聴こえる感じを頼りに作業を進めるのですが、途中で必ずマスター・トラックにインサートして200MHzや500MHzあたりをチェックしています。ソフト・シンセに関しては、Presenceのピアノ音源ですね。ブラウザからプリセット名で検索してドラッグできるのもとても便利です。
Studio Oneの魅力を語るDJ URAKEN氏
その他に、クォンタイズの自動設定とか、テンポ・チェンジ機能もいいですし、それからマスター・トラックにポスト・フェーダーが付いているのはとても便利ですね。曲作りの最中に音数が増えていって、リミッターに送るレベル自体が大きくなって困るということはよくあると思うんですが、ポスト・フェーダーを使えばリミッターに送るレベルを簡単に調整することができますから。総じてStudio Oneは、MIDIトラックで外部ハードウェアを鳴らすことを前提に設計された古いDAWとは全く違う、新しい発想でデザインされているように感じます。今挙げたような便利な機能は、新しい発想から生まれたものなんじゃないですかね。
また、1つの画面に全てが収まっているのもいい。アレンジとミックスでディスプレイを分けている人もいますが、僕の場合、体や目線がセンター・ポジションからズレてしまうのがストレスで。その点、Studio Oneはディスプレイ1台で全てが行える様に考え抜かれたデザインなので、デュアル・ディスプレイの必要性を感じたことはありませんね。
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—— バージョン3はいかがですか
立ち上げてみて画面が全体的に黒っぽくなっているのに最初驚きました。暗いスタジオでの視認性を考えてそうなっている様ですが、僕の様に太陽光が一杯の部屋で作業している人も多いと思いますので、自分好みにカスタマイズできる所が良いですね。背景やアレンジメント画面の色彩やトーンをプリセットで色々選べる所もStudio Oneらしい遊び心があって良いと思います。僕は今の所、デフォルトの画面をベースにアレンジメント画面の輝度を少し上げて使っています。
音の印象はとても良いです!Studio Oneらしい素直でクリアで奥行きがありながらも、なおかつ前にもきちんと張り出してくるパンチのあるサウンドに、より一層磨きがかかったというか。Webサイトで他の方もおっしゃっていましたが、Studio One 2で制作した曲のソングファイルをStudio One 3で開いたら、かなり印象が違いました。もちろん良い意味で。ステレオの両サイドからしっかり出ている感じとか凄く良いですね。高音域も低音域も前バージョンに比べて、しっかり伸びながらハッキリした印象です。かといってまとめにくくなったわけでもなく、小さな音量のシンセなどもしっかり聴こえます。音をレイヤーしていく時に、それぞれの存在感が感じられて作業しやすいですね。自分の曲の音を「もう少しこうしたいな〜」と思っていた所が、何もしなくても修正されてしまったような感じです。
Presence XTがKONTAKTやSoundFontなどに対応したのも良いですね。最近は、あまり多くの種類のプラグインを使うのが好きではないので..。プリセットが凄く増え、そして広範囲の音をPresenceだけで済ませることができる様になったのは嬉しいです。プリセットをチェックする時に、リアル系のピアノの音色が増えていて、お気に入りのチープな'Rock Piano'がなくなってしまったかと一瞬ヒヤッとしました(笑)。ありましたけど。残してくれて嬉しかったです(笑)。
モデリング・シンセサイザーMai Taiも凄く良いです。音が太いしフィルターの効きやシンプルなインターフェイスの操作性がとても良い。プリセットの音色も、今を感じさせる様な新鮮な音色が多く、Studio One3の新しい音像ともピッタリで直ぐにでもオリジナル曲を作り始めたくなる様な音が沢山入ってます。PreSonus softwareのアーンド・カイザーさんがインタビューで語っている「Studio Oneの魅力をクリエイティブなプロデューサーやサウンド・デザイナーにも広げたい」というのは本気だなと音を聴いて感じました。
全体的なインターフェイスのデザインがフラット・デザイン風なのも良いですよね。シンプルで視認性が高いから、操作しやすくて疲れないという正にStudio Oneらしい考え方が反映されたデザイン面のバージョンアップだと思います。今回のバージョンアップで、益々Studio Oneに向かって音楽を作ることが楽しくなると思います。テディーライリーもきっとまた、熱く語っていることでしょう(笑)
DJ URAKEN 1996年の渡英時に経験したロンドン郊外での大規模レイヴ・イベントに衝撃を受けDJとしてのキャリアをスタート。日本をはじめUK、オーストラリアなどワールドワイドにDJ/プロデューサーとして活躍する。エレクトロニック・ダンスミュージックをベースにした幅広い音楽性が支持され、テレビ、CM、ラジオ(J-WAVE‘TOKIO HOT 100’でのノンストップ・ミックス等)、ゲームなど多方面でのサウンドプロデュースを展開。またFIREWORK DJs 名義(2011年ユニバーサル・ミュージックジャパンよりメジャーデビュー)では、リリースしたデジタルシングルが連続でレコチョク総合チャートトップ10 入りしている。現在はトラックメイキングだけでなくレコーディング、ヴォーカルディレクション、ミックスダウン、マスタリングまでのほぼ全ての制作過程を自身で手掛けている。2015年、金田謙太郎とのユニットRIZM DEVICEを始動。
KINGDOM HEARTS TRIBUTE ALBUM 世界累計出荷本数2,000万本超えを誇る大人気RPG「キングダムハーツ」シリーズ。そのゲーム内音楽をリスペクトするRIZM DEVICEが参加した初のトリビュート・アルバム。ディズニー公式描き下ろしイラストによるパッケージが、壮大なキングダムハーツの世界へといざないます。 KINGDOM HEARTS TRIBUTE ALBUMの詳細
Photo/Video:八島、鈴木
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