—— 実際に導入されて使用した印象は
操作性に関しては、正直想像以上でしたね。アナログ・ミキサーの操作性そのままに、内部だけがデジタル化された感じで、かなり使いやすい。機能はシンプルですが、必要なものはすべて揃っていて、使いたいと思った機能にすぐにアクセスすることができる。国産のデジタル・ミキサーは機能がてんこ盛りで、使いたい機能にアクセスするためには何度もページを捲らなければならないじゃないですか。そういう機材とは対称的な設計のデジタル・ミキサーだなと思いました。僕達が手がけているような現場では、30分とか限られた短時間の中で、セッティングからサウンド・チェックまですべて済ませなければならない。そういった現場にはStudioLiveは最高のデジタル・ミキサーという印象ですね。
昔話になってしまいますが、国内のメーカーが新しい設備用デジタル・ミキサーを開発するという時に、意見を求められたことがあったんですよね。それで要望をひととおり伝えたんですけど、結果的にほとんど僕の意見は採用されず(笑)。そんなガッカリした思い出があるんですけど、このStudioLiveは、その時僕が考えていた理想のデジタル・ミキサーそのものなんですよ。理想のデジタル・ミキサーといっても、決して高尚なものではなく、ほとんどの操作子が表に出ていて、それらを触れば音に反映されるというのが、僕にとっての理想のデジタル・ミキサー。そしてそれを見事に具現化しているのがStudioLiveなのです。
多くのメーカーは少し勘違いしていると思うんですけど、すべてのチャンネルの情報を同時に俯瞰できる必要はないんですよ。実際に現場でオペレートしていて、何十ものチャンネルを同時に確認するということはありません。人間の目は2つしかないですしね(笑)。メーター・ブリッジには、すべてのチャンネルのレベルが表示されますけど、それも単に“音が来ているな”と確認する程度で、細かいレベルまでは見ていないですよ(笑)。その点、StudioLiveは、選択したチャンネルのパラメーターがすべて表示されて、それらをページを捲ることなく操作できる。本当にわかりやすいですし、現場ではそれで十分なんですよ。
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—— StudioLiveのXMAXプリや音質は
StudioLiveは分離がよく、素直な音でいいですね。以前ここで使用していた英国産のアナログ・コンソールは、音質が高く評価されている製品ではあったのですが、個人的にはローが膨らみすぎている印象で、決して扱いやすいサウンドではなかったんです。確かに音は悪くはなかったんですけど、結局ローカットのお世話にならなければならなかった。一方、国産のコンソールは逆にハイが伸びすぎている印象で、それだけを聴くんだったら悪くないんですけど、それでミックスするとなると結局ハイを削る必要があったんです。
その点、StudioLiveはローの出方もハイの伸びもほどほどで、とてもバランスが良い。音色的にも素直で、とても扱いやすいサウンドですね。人によっては、おもしろみの無い音だと感じる人もいるかもしれませんが、それは自由に音を作り込める余地が残されているわけです。最初から音に色がついているコンソールは、それが気に入っている人にはいいかもしれませんが、こういう現場では使いにくいんです。StudioLiveは本当にクセの無い素直なサウンドで満足していますね。
—— 内蔵エフェクトは活用されていますか?
もちろんです。以前はここにコンプレッサーなどのアウトボードがかなりあったんですけど、StudioLiveを導入してからどんどんシンプルになってますね。トータルの出力に、ピークを抑えるためのコンプレッサーが入っているくらいで、基本的にすべて内蔵のエフェクトでやっています。入力段で使用しているコンプレッサーもすごく自然で良いですし、EQもとても使いやすいですね。
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