—— 全員Studio Oneを使用されているのですね
Dr.水野氏:同じDAWを使ういちばんのメリットは、例えば伊橋さんの作業を見て、何をやっているかわかるところですよね。そしてファイルでのやりとりもできますし。
伊橋氏:自分がわからないDAWだと、後ろで見ていても何をやっているかわからなくて不安じゃないですか(笑)。自分が知ってるDAWだったら、“あそこをこうしてみて”とか指示も出せますしね。
もちろん今回、Studio OneセッションやMIDIなどファイルのやり取りも行いました。田村の自宅も歌くらいだったら入れられるので、ファイルを渡して自宅で歌を入れてきてもらったりとか。もちろん、後で録り直すわけですけど、歌詞のハマり方とかの試行錯誤は、限られたスタジオでの時間よりも、自宅で一人でやった方がメンバー全員やりやすいと思うんですよ。
僕はずっとStudio Oneを使っているわけですが、こういうバンドの子たちにすごく向いているDAWだと思います。ファイルをStudio Oneへドラッグ&ドロップして切ったり貼ったり、まるで写真を加工する様な簡単な感じで。シンプルで軽く、何よりリーズナブルですしね。
—— マキシシングル日比谷のプロダクションは
伊橋氏:田村や中根が持って来たラフ・スケッチを叩き台にして、僕のスタジオで作っていきました。ラフ・スケッチは、さっき田村が言ったようなボイス・レコーダーに録った弾き語りだったり、オーディオ・ファイルだったり。イントロだけとか、Aメロだけとか(笑)。
それで最初は一発録りをするんです。まずはテンポを決めて、ギターはLine 6 PODを通し、ベースはラインでStudio Oneにレコーディングする。ドラムだけはMIDIで、水野に電子ドラムのV-Drumsを叩いてもらって入力する感じですね。そこからコードを変えたり、構成を組み替えたりして、アレンジを固めていって、ある程度出来た段階で、今度はドラムから楽器ごとに録り直していくと。
Dr.水野氏:伊橋さんのスタジオで入力したMIDIファイルを持ち帰って、Studio Oneでドラム・パターンやフィルを納得いくまで構築しました。それを元にレコーディング・スタジオで収録して生音と差し替えていきましたね。
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—— 曲作りの段階で伊橋さんのアドバイスは
伊橋氏:そうですね。こうしたらいいんじゃない?とか。彼らが持って来た曲をボツにすることはなかったですけど(笑)、メロディーはイマイチだけど、演奏や雰囲気はいいんじゃない?とか言って、皆で手直ししたり。
—— バンドのメンバーが帰った後に、伊橋さんが一人で曲に手を加えることもあるのですか?
伊橋氏:曲によっては修正したりとかはしますけど、曲の骨格となる部分はあくまでも皆で作る感じですね。その部分は大切にしました。逆に僕から皆に宿題を出したりもしませんでしたね。僕もバンド・マンだったのでわかるんですけど、やっぱり皆で作った方が早いですし、良いものができるんですよ。その場でいろいろ話して、チャチャを入れながらやった方がいい。誰かが一人宿題にして持ち帰ったものを、後日皆でジャッジするというのは、時に気持ちよくないので…。なるべくは気になることがあれば、作業中に言うようにしています。データのやりとり等は今時ですが、コミュニケーションはアナログにはしてます。
—— ホルンやピアノといった楽器も入っていますが
Vo./Gt.田村氏:自然と「何か入れた方がいいんじゃない?」という感じになって。プラス・アルファの部分に関しては、伊橋さんのアイディアによるところが大きいですね。
伊橋氏:本当自然に頭に鳴った楽器を足してみようという感じで。頭で鳴ってても、試す前から「らしくないから却下!」みたいなのは止めようと。一度入れてみて、違和感があるなら止めれば良い事だと思います。出会った当初はオルガンでさえ「えー?」という感じでしたから(笑)。時間を掛けてバンド外の音の効果みたいなものを、彼らに判って貰った感じです。でも最近は、3ピースのロック・バンドでもシンセとかをカッコよく使うアーティストが増えているので、昔ほど嫌悪感は無いとは思うんですけどね。1曲、ブラスが入っている曲があるんですが、それに関しては最後まで悩みました。アリなのか無しなのかって。
—— アレンジを厚くしてしまうとライブで大変ですね
伊橋氏:そうですね。SONIC-ONEの人からも「こんなに豪華にしてしまったらライブでガッカリされるぞ」と言われて(笑)。それでどうしようかなと思ったんですけど、やっぱり音源は音源として完成したものにしたいなと思って。いろんな楽器が入っていたとしても、楽曲自体は3人で作っているわけですし、ライブに関してはサポートでどうにかなるかなと。
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