Sceptre |
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HD CoActualアクティブ・スタジオ・モニター |
AI、aiko、槇原敬之、石崎ひゅーい、Fis block、HOKT、Young Dais、東方神起、ポルノグラフィティなど、数々のレコーディングを担当するレコーディング・エンジニアの滝澤武士氏が、PreSonusの同軸モニターSceptreをレビュー。
滝澤武士氏のレビューを読む
ロサンゼルスを拠点に著名なアーティストの作品を数多く手掛けるミキシング/レコーディング・エンジニアのKenji Nakai氏が、PreSonusの同軸モニターSceptreをレビュー。
Kenji Nakai氏のレビューを読む
MISIAを発掘し「Everything」や「つつみ込むように」をプロデュースした大物プロデューサー与田春生氏と、幅広いジャンルのレコーディング&ミキシングに定評がある川口昌浩氏が、PreSonusの圧倒的なコストパフォーマンスを誇るErisをレビュー。
[UNIVERSOULのレビューを読む]
コスト・パフォーマンスの高い製品群を輩出するPRESONUSから、アクティブ・スタジオ・モニターSceptreが発売された。ウーファー径8インチと6.5インチのモデルがある中、今回は前者のSceptre S8をチェックしてみた。
[遠藤幸仁氏のレビューを読む]
Central Station — モニター・コントロール・センター
Monitor Station V2 — モニター・コントロール・センター
本製品は2023年9月に生産完了しました。
後継機種はEris Proシリーズです。
笏を意味し王権を象徴するものとして長年使用されてきたSceptre(セプター)。PreSonusのSceptre™ CoActual 2ウェイ同軸スタジオ・モニターは、その名のとおり一流が認めるサウンド・クオリティとコントロール性能を、プロジェクト・スタジオにも導入可能なプライス・レンジで提供します。
並外れたパフォーマンスを実現するPreSonusのCoActualテクノロジーは、スピーカー・デザイナーとして世界的に有名なデイブ・ガネス氏とのコラボレートによる最新鋭の同軸カスタム・トランスデューサーと、Fulcrum Acoustic社のTemporal Equalization TQ™ を実行する強力なTexas Instruments社のDSPを組み合わせたものであり、従来のデザインでは再現できない音楽の微妙なニュアンスをも届ける本物の同軸モニターです。このパノラミックなサウンド・ステージ、繊細なディテール、優れたダイナミクスは、リスナーの耳に驚きをもたらすことでしょう。
同軸ならではの難題、そしてDSPによる解決
スピーカー・デザインにおいて、同軸構造による一定した音響中心と対称的な拡散パターンをもたらす点音源の利点は長年知られていました。しかし今日に至るまで、音響偏差のない同軸システムのデザインは極めて高度で高価なものとなっています。
同軸デザインにおけるこの様な問題の解決には、強力なDSPパワーと緻密で洗練されたトランスデューサー・デザインが必須であり、それを実現するためには、外部プロセッサーを使用するハイエンド製品に限られていたのはこのためです。
しかし、Fulcrum Acoustic社がもたらす素晴らしい最先端技術により、これら同軸システムの設計上の問題を克服することが可能となったのです。デイブ・ガネス氏によるカスタム・トランスデューサーとTemporal Equalization TQアルゴリズムにより、これまで超ハイエンド・システムでしか実現できなかったクリアで位相ずれのない本物の同軸サウンドを、Sceptreで提供することが可能となったのです。
風格あるSceptre
Sceptreでは、2モデルがラインアップされています。Sceptre S8は、8インチ低域/中域ドライバーと1インチ(25mm)ホーン型高域トランスデューサー搭載、Sceptre S6は、6.5インチの低域/中域ドライバーと1インチ(25mm)ホーン型高域トランスデューサーが搭載され、両モデルとも日本の環境に適したフロント・ファイアリング型アコースティック・ポートを備えています。
システムはバイアンプ方式となっており、各トランスデューサーは内部ヒートシンク搭載の90W RMSクラスDパワーアンプでドライブされ、IECコネクターとオン/オフLED付電源スイッチを搭載した独自の内部電源も内蔵しています。
ADにはワイドダイナミックレンジを実現するエンハンスト・デュアルビット方式、DAにはアドバンスト・マルチビット方式を採用したAK4621を採用。入力系統には、バランスXLR入力および1/4インチTRSライン・レベル入力とAテーパー・レベル・コントロールが搭載されています。
カスタム・トランデューサー、パワフルなDSPを実行するカスタム・ソフトウェア、最上級のパワーアンプに、豊富な音響コントロール性能とスピーカー保護が加わり、プロジェクト・スタジオや商用施設におけるニアフィールド・モニタリングの新たなスタンダードを打ち立てます。
PreSonusならではのクオリティに優れたコンポーネントを使用して精緻に製作されたSceptreは、その名に恥じない極上のオーディオ品質とルックスを提供しています。
Temporal Equalization TQ™ により実現される本当の同軸
Sceptreは、内蔵したTexas Instruments社のDSPでFulcrum Acoustic社のTemporal Equalization TQアルゴリズムを実行します。この強力なDSPとTQアルゴリズムにより、ホーンの反響、線形時間、振幅偏差補正、パフォーマンス・コンター、ダイナミクス、エクスカーション・リミッティングの制御を実現します。
完全なドライバーというものは存在せず、ハードウェアだけで完成するドライバーもありません。物理システムには妥協がつきものです。ドライバーにおけるこれらの妥協を回避するために、メーカー各社はマルチバンドEQの組み合わせという形でDSPを応用していますが、程度の差はあれこのプロセッシングは補足でしかありません。なぜなら、トランスデューサーのデザインにこの点が配慮されていないのです。この様な手法で問題を解決できないわけではありませんが、やはり次善策にすぎません。
ハイエンド・メーカーの数社は、スピーカー・デザインを考慮したアクティブDSPによる洗練されたソリューションを開発していますがこれらは非常に高価であり、同軸デザインでこの開発を行っているメーカーはただひとつ。それがFulcrum Acoustic社なのです。
PreSonusでは、保守的なアプローチを採らずFulcrum Acoustic社とコラボレートしてTemporal Equalization TQのライセンス供与を受けることにしました。現在のところ、このテクノロジーは超ハイエンド・スピーカー・システムにしか採用されていません。
TQアルゴリズムを使用することにより、ベーシックなスピーカーとエンクロージャ・デザインであっても、正確かつクリアなサウンド — つまり、通常のDSPでは実現不可能な音響特性をもたらす物理的要件を満たすことができるのです。TQアルゴリズムは、アドレス可能な大型のFinite Impulse Response(FIR)フィルターを複数使用しホーン反響を排除および線形時間と振幅偏差を補正し、その他の問題に対処可能。ハードウェアとTQアルゴリズムのセッティングは、使用開始から連携するようデザインされており、既存のスピーカー・システムにDSPを適用して補正するという従来の形とは異なっています。
Fulcrum Acoustic社のホワイト・ペーパーによると、「このフィルターを使用することにより、より詳細な周波数レスポンス調整が実現可能となり、さらに重要なこととして、TQアルゴリズムの主要な利点のほとんどに関与する正確な一時(時間領域)フィルターを適用できます。TQアルゴリズムを搭載したスピーカーは、ステレオ・イメージはよりはっきりと、サウンド・ステージはより深く、複雑なミックスにおいて各コンポーネントの違いがよりくっきりと、スピーカー間のトランジションはよりシームレスになり、高いSPLにおいてもより快適なリスニング体験を提供します」
Fulcrum Acoustic社の共同創設者デイブ・ガネス氏とのコラボレートのもと、PreSonusのソフトウェア・デザイン・チームは、カスタムTQアルゴリズムをオンボードDSPに組み込みました。その結果、極めてクリアで一貫性に優れ、ディテール豊かなサウンドを、これまでにないコストパフォーマンスで提供するスタジオモニターSceptreが誕生したのです。
Sceptreには、出力を高めドライバーの欠点を補う従来とは異なる非対称のクロスオーバー機構と極めて巧妙なタイムベースのプロセッシングを使用しています。この機構はこれまで実装された例がありません。それは、デジタル・プロセッシングなしには不可能であることだけが理由ではなく、その発想を思いついたエンジニアがこれまでおらず、また全てをうまく機能させるためには位相にかなり手を加える必要があるためです。
圧倒的な機能性能までも提供するSceptre
Sceptreのカスタム・トランスデューサーとTemporal Equalization TQアルゴリズムによる高度な同軸デザインの実現に加え、ミキシング・スペースに合わせたモニターの最適化を可能とするDSPコントロールも提供しています。このDSP機能により、モニターをあらゆるスタジオ環境に適応させることができます。
4ポジションのAcoustic Spaceスイッチは、4種類の減衰設定(なし、-1.5dB、-3dB、-6dB)で100Hzを中心に二次シェルビング・フィルターをコントロールし、設置スペースの関係でSceptreが壁や隅の近くに配置されている場合に生じる境界低域ブーストを補正可能です。
また、このパフォーマンス・コントロールを使用して、Sceptreの全体的なサウンドとレスポンスを意図的に調整することも可能です。
優れた安全性能、ソフト・スタートアップ
スピーカーには環境とパフォーマンスに関する諸問題がつきものですが、Sceptreはこれらのほとんどに対する保護機能を提供しています。RFシールドは、ラジオ周波数がシグナルに混じるのを防ぎます(ギターアンプからラジオ放送が聞こえてきた経験はありませんか?これがRF干渉です)。また、熱に関連するさまざまな問題を防ぐ過熱保護機能、スピーカー端子に短絡が生じた場合のダメージを防ぐ電流出力制限も搭載しています。
さらに、Sceptreのパワーアンプにはソフト・スタートアップ機能が搭載されており、電源を入れる際にスピーカー内に生じる損傷を与えるポップ音を生じません。
そのネーミングに相応する極上サウンド
その昔、笏は国家権力を象徴するものとして扱われていました。その名を冠したPreSonusのSceptreスタジオ・モニターは、優れた同軸デザインにより、トラックやミックスをこれまで以上に素晴らしいサウンドでモニターすることができ、音場を意のままにコントロール可能。これには策略も術策も必要ないのです。