Gregory Taylor著のStep by Step「Max/MSPで学ぶシーケンス・アドベンチャー」の日本語訳版がリリース。Maxでのステップ・シーケンサー開発をテーマとした本書は、基本のシーケンサー・パッチに機能を追加し、それによってどんな効果が生まれるのかについて解説しつつ、別のアプローチでそれを実現するためのテクニックも紹介されています。パッチの各機能はモジュール構造のため、組み合わせるだけでオリジナル・シーケンサーのビルドも容易です。本書と連動したサンプル・パッチも日本語化されており、Maxビギナーからエキスパートまで必見の一冊となっています。
本書は、Amazon POD(プリント・オン・デマンド)限定で販売です。なお、エムアイセブンジャパンが販売した国内正規品Max 6〜8を購入しユーザー登録されている方へはMUSIC EcoSystems MYページから本書のEPUB版を無償提供しています。ユーザー登録されていない方は是非ご登録ください。
この度、日本語訳版“Step by Step”を日本のMaxユーザーに届けられることになり、大変光栄です。かつて講義やパフォーマンスを行ったこともある日本は、私にとって特別な国です。そんな日本で私の著書が購入できるようになることを、とても嬉しく感じています。
本書は、ある特定のMaxユーザーをターゲットに作られました。Maxの基本チュートリアルに目を通し、ヘルプ・ファイルを参考に自分自身のパッチを作ることができる人、そしてそれらを再構築してより大きなプロジェクトを開発するべく次のステップに踏み出そうとしているMaxユーザーがターゲットです。
この本を書くにあたり、完結した大規模なシステムとして作り込まれたパッチを敢えて掲載しないように心がけました。本書ではまず、シンプルなステップ・シーケンサー・パッチを取り上げ、それぞれの機能を一つずつ説明します。そして以降の章にて、基本のシーケンサー・パッチに新たな機能を1つだけ追加することを繰り返し、様々なパッチのバリエーションを紹介しています。基本のシーケンサー・パッチの各機能はモジュール構造で作られているため、紹介する様々なパッチの中から好きな機能を組み合わせることで、自分だけのシーケンサーを構築することが可能です。
数学が得意な学生さんであれば、本書に掲載されるモジュールを数え、最終的にいくつのシーケンサーが作れるかを計算したくなるかも知れません。しかし私が読者に一番期待することは、あなたが自分好みの機能を発見し、それらを組み合わせ自分自身のシーケンサーを作るテクニックを学んでくれることに他なりません。
本書を読むにあたり注目して欲しいことは、一部のMaxオブジェクト(trigger、zl、メッセージ・ボックス内の$構文など)の接続/再結合の解説に多くのページが割かれていることです。つまり数少ないオブジェクトの取り扱いを覚えることで様々な機能を実現できることをお伝えしたいのです。またMaxプログラマーの習慣的な行為である、オブジェクト同士の接続に関する解説も本書の目的の1つと言えます。パッチングを行っていると、直接接続不可能なMaxオブジェクト同士を連携したい場面に遭遇します。その場合はオブジェクトの出力データを送信先のオブジェクトに合わせて変換してから接続することで、オブジェクト同士の適切なやりとりが可能になり目的の動作を実現できます。Maxプログラマーはこれを常套テクニックとして活用しながらパッチングを行っており、この方法がパッチ開発にいかに大切な手法であるかを、皆さんにお伝えできればと思っています。