UNFILTERの用途
UNFILTERは、極めて多用途な周波数特性ツールです。そのうちのいくつかを、次の作業分野にまとめました:映像用サウンド|音楽制作/マスタリング|サウンド・デザイン|放送|科学捜査
映像用音声
UNFILTERは、オーディオのポスト・プロダクションで強力なパワーを発揮します。周波数特性の異常を自動認識する機能は、プロダクション・サウンドのクリーンアップ、特にナレーション/セリフの明瞭度向上に非常に便利です。UNFILTERは、次のような状況で活用できます。
- 複数のオープン・マイクを1つのISOトラックにミックスしたり、反響面に接近することにより生じるコム・フィルター効果の除去
- 室内空間の形状や、ショットガン・マイクを反響面に対してほぼ軸外で使用することによる反響音を除去
- 録音素材の合間のロールオフと小型マイクの胸での反響の除去
- レーション/セリフと背景音のレベル分離をよりはっきりさせる
- 現場収録の音声と別録の音声を自然にブレンド
- 検出されたフィルター特性をノイズに適用してルームトーンを作成し、編集点の間の隙間を埋めたり別録音声に重ねる
- ナレーション/セリフに影響しない喧騒音や環境音を作成
- ルーム・フィルター効果を強調して背景音の距離感を操作
- SFXと効果音の録音をよりリアルに
- イコライゼーションとローカット・フィルタリングを高速化
- 再生システムの周波数特性により付加される反響音を除去することで、テレビやコンピューターなどの非標準再生環境へのミックス変換を向上
- ミキシングの作業時間を短縮
音楽制作およびマスタリング
音楽制作とマスタリングにおいて、シグナルの周波数特性の微調整は、最も一般的に行われるタスクのひとつです。アコースティック楽器やライブ・パフォーマンスの録音では、しばしば不要なピークやノッチが生じることがあります。また、楽曲では複数の楽器が同じキーで演奏していることが多いため、関連するピッチの基音と倍音が含まれる周波数範囲が過剰に膨らみます。また、納品済みトラックがミックス段階での補正処理に限界がある場合もあります。UNFILTERの周波数特性の異常を自動認識する機能と高精度フィルタリングエンジンにより、これらの問題にフレキシブルに対応できます。UNFILTERの応用例には以下のようなものがあります。
- 反響や他の周波数特性の問題をアコースティック楽器やライブ・パフォーマンスの録音から除去
- 「プリント」済みトラックのミックスダウンやマスタリングでEQやフィルタリングを除去
- ギター・キャビネットによる色づけを除去、またはDIの色づけを適用
- 補正目的のEQを任意のソースに数秒で適用
- サウンドの色づけをサウンド自体の周波数の「窓」に集中させて強調
- サウンドの「ボディ」を損なうことなく、サブミックスとミックスからローミッドのビルドアップを除去
- 1つまたは複数の楽曲のスペクトルのバランスを調整
- 外部EQや他のシグナル・パスの周波数特性をキャプチャし、インパルス・レスポンス(WAV)として適用または保存
- アコースティック・バスドラムの自然なローエンドを強調
- ベース・ギターやアコースティック・ギターでボディの反響により生じるスペクトルのピークを除去
- トラックで検出されたフィルター特性を、別のレコーディング・セットアップで作成された複数のオーバーダブに適用してまとまりを良くする
サウンド・デザイン
UNFILTERは、シグナルのスペクトルの輪郭をまったく別の形に変形させ、あるサウンドからフィルター特性を抽出して別のファイルに適用し、サウンドに含まれるノイズ要素だけをソロにすることができるため、新しいサウンドのデザインに最適のツールです。独自性にあふれる新たなサウンドを生み出すUNFILTERの活用例をいくつか紹介します。
- あるサウンドからフィルター特性曲線を抽出し、別のサウンドに適用
- あるサウンドから自然なボディの反響音を除去し、別のサウンドに適用
- シンセのローパス・フィルターを事後に開閉
- 通常であれば別の側面により隠されているサウンドのある側面を引き出す
- 例となるサウンドからフィルター特性を抽出し、ノイズや他の広帯域の擬似定常音/循環定常音サウンドに適用してドローン、ヒス、ランブルを合成
- NOISE MONITORを使用してサウンドのノイズ要素を分離
- ゲーム用のあるファイルから複数のオブジェクト状態のサウンドを生成
- 雑音の周波数特性に動きを与え、より「生き生きと」したサウンドに
- ゲーム用PCなどのコンシューマー向け再生システム用へのサウンド対応を強化
- サウンドの周波数特性をこれまでにないほどの精度で微調整
放送およびENG
放送におけるオーディオでは、ダイナミクス処理、コーデック、再生デバイスなどのダウン・ストリーム・システムすべてのパフォーマンスを最適な状態で確保するためにも、オーディオ・スペクトルのバランスを保ち安定させること、さらに、高品質で安定した疲労感を与えないリスニング状態をオーディエンスに提供することが重要となります。使用される映像の音響特性は極めて多用であるため、これは簡単なタスクではありません。ENG(Electronic News Gathering:電子的ニュース取材)では、インフラ、政治的、安全性による制約から、携帯端末と低帯域幅伝送網しか使用できない場合がしばしばあります。多くの場合、低クオリティの映像になるか、音声が全くないこともあります。UNFILTERの適応処理なら、難度の非常に高い録画音声を使用可能な音声に変え、できるだけ良音質のオーディオを提供することができます。UNFILTERの活用例には次が挙げられます。
- ミックス済み音楽のストリームなど、時間的に変化するオーディオ・コンテンツにイコライゼーション処理を適用
- 反響音やシグナル・パスに関連するロールオフを除去し、録音素材の話声の分かりやすさを向上
- コンシューマー向け再生機器の再生システムにより付加される非線形性を除去し、再生機器への対応を強化
- 電話、拡声器、インターホン、PAシステムなどを通じた伝送により付加される色づけを低減
- 隠しマイクや忠実度の低い機材を使用して録音された話声の分かりやすさを向上
- 背景音と話声の分離を向上
科学捜査
UNFILTERは、録音素材からの情報抽出をさまざまな方法で支援します。話声録音の聴き取りやすさを大幅に向上させたり、マイクが遮蔽されることによるフィルター効果を除去したり、他の音に隠れて聞こえないサウンドを聴き取りやすくすることができます。次のような場合に使用できます。
- 遮蔽、故障、クオリティの低いオーディオ機器を使用して録音された話声の分かりやすさを向上
- 他の音に隠れて聞こえないサウンドを聴き取りやすく
- 話声と背景音のレベル分離をよりはっきりさせる
- 電話伝送によるフィルター効果を低減
- 壁や窓など中間媒体により生じる反響音やフィルター効果を除去
DL版:44,000円
(オープンプライス:STORE価格)
Zynaptiqアカデミック版
音楽/芸術の未来を担う学生/教職員個人のための優遇購入制度、MI7楽割アカデミック・プログラムにZynaptiq全製品が遂に追加!対象の方は驚きの13,750円からZynaptiq製品を手に入れられます。
Zynaptiq解説動画
アーティスト/YouTuberのライムロレンソ氏がINTENSITY/UNVEIL/UNFILTERをミュージシャンや動画クリエイター向けにレクチャー!不可能を科学で可能とする、正にマジックの様なサウンド処理を是非ご覧ください。
ZAP III、REPAIR、MASTER
UNFILTERはZynaptiqプラグイン・バンドルの ZAP IIIバンドル、REPAIRバンドルおよびMASTERバンドルにも収録されています。
Mine-Chang
様々なフィルター効果による影響をリアルタイムに改善するUNFILTER。このUNFILTERを愛用しマスタリング・グレードのEQでもあると語るレコーディング・エンジニアMine-Chang氏がレビュー。ビフォー&アフターが分かる、この記事のために制作されたサウンド事例も要チェックです。
[インタビューを読む]
木村健太郎(KIMKEN STUDIO)
今回試すのは同社のUnfilter。リアルタイムで不自然な音を解析して、自然な音にする効果があるそうです。その名の通り、”フィルター効果を除去する”のが主目的で、例えばノイズ除去処理や過剰なEQなどで音質が変わってしまったファイル、あるいは反射の影響で音色そのものが変わってしまった録音などを、本来あるべきリニアな特性へと補正するのに適しています。ただ、そうした補正にとどまらない機能もたくさん備えているようです。使用しながらどういうものなのか確めていきたいと思います。
[木村健太郎氏のレビューを読む]
Developer Interview
ドイツで設立されたZynaptiq。不可能をサイエンスで可能とするScience, Not Fiction、そのスローガンを唯一無二のMAPテクノロジーで具現化するZynaptiq GmbHのCEO、Denis Goekdag氏へ起業から開発コンセプトまでを独占インタビュー。
[インタビューを読む]