最大3,481ものダンパーによる3層構造「Sonic Improvement PAD」と独自発泡率の高密度ポリエチレン「Sonic Improvement BOARD」を組み合わせた「Sonic Improvement for MUSIC(ソニック・インプルーブメント)」は、免震/制振/防振/防音を提供する4層構造によりオーディオ機器、スピーカー、ギター/ベース・アンプなどが本来持つタイトな低音域とクリアな中高音域を提供するオーディオ・ボードです。驚異の耐加重1トンを誇り、今まで諦めてきた大型のラージスピーカーやアンプなどでも使用可能。PADとBOARDは接着されていないため単体で使用したり、機器のサイズに合わせるためにカッターナイフ等での加工も容易です。Sonic Improvement for MUSICは、オーディオ愛好家、ミュージシャン、エンジニアなど音に関わる全ての方達のマスト・アイテムです。
インシュレーター、オーディオ・ボード、スタビライザーなど様々な音響改善製品が存在しますが、Sonic Improvement for MUSICは免震作用をもたらすデザインから誕生しています。正に無数のインシュレーターとも言えるダンパー形状の水平剛性を利用したアイソレート機能とエネルギー吸収性能による減衰機能を併せ持った構造であり、ブリッジ・ラインにより更にダンパーの強化を保持。そして、計算されつくした肉厚と強度により、力を逃がしつつ振動や共振を効果的に吸収します。これらの全く新しいアプローチとデザイン、特殊形状成形と高精細品質を支えているのは日本のテクノロジーです。
免震作用をもたらすデザインから誕生したSonic Improvement PAD(特許出願中)は、最大3,481ものダンパーによる3層構造を実現。防振などに使用されるラバー素材(劣化=硬直化)に比べて、経年劣化が非常に少ない軟質ポリ塩化ビニル(PVC)を採用し、日本のテクノロジーにより、この複雑なパターンを射出成形し圧倒的な効果と強度を両立する一体形成を実現しています。機器のサイズに合わせたりサウンドをチューニングするためにカッターナイフ等での加工も容易です。また、裏側のダンパーに別売のジョイントを装着すれば、複数枚のPADをまるで1枚の様に連結可能です。
高級車や空調機などの防音/遮音素材としても使用されている高密度ポリエチレン(HDPE)。防振性にも優れた素材であり、コンサートの大型スピーカーやギターアンプなどの振動を抑えるために開発されたのが高密度ポリエチレンを採用したSonic Improvement BOARDです。高い防音性、防振性、そして耐久性を提供する発泡率を独自開発。Sonic Improvement PADの下に敷くことで、気泡壁の半胴性と気泡のクッション(独立気泡構造の発泡体)により音の共振を最大限軽減させます。機器のサイズに合わせたりサウンドをチューニングするためにカッターナイフ等での加工も容易で、裏面は熱加工処理を施すことでスリップ防止効果を有しています。
メインスピーカーADAM HM2とスピーカースタンド(アコリヴァ製)の下にPADとBOARDそれぞれ試してみたところBOARDだけでも低域を中心に振動を抑えられ、見通しの良いサウンドとなりました。PADだけの場合は中低域の響きが抑えられると同時に中高域に対し、独特なハリ艶が表われ音像の輪郭がよりくっきりと見えるようになりました。逆にクラシックなどの音場の余韻を豊かに感じさせるソース(特にDSD系)ではドライな傾向のため、音像もボディの厚みが減ってしまう印象です。アタック成分を中心に捉えたい場合であれば余分な響きを抑え込んで素のトーンをしっかり感じ取れると思いますので、その点モニター的なサウンドになります。
サラウンド環境では、ELAC CC241BE(センターチャンネル用スピーカー)をスタンドではなく無垢材のシンプルなテーブルに乗せ、PADとBOARDを試してみました。TOTOⅣのマルチチャンネルSACDを試聴しましたが、PADを加えると中低域のエナジーを適度に抑え、音像全体の輪郭感が素直に捉えられるようになってきました。S/Nも良くなりますが、音像の質感はやや粗く低域のアタック感は若干丸みを感じます。PADのみのパターンでは中低域にかけキレ良く引き締まり、ベース帯域の輪郭も明確になってきました。高域にかけハリがあり、ギターやボーカルのエッジが強調される傾向にあり若干の色付きを感じます。最後にBOARDの上にPADを敷くパターンで聴いてみましたが、低域のエナジーはかなり抑えられるものの、音像の輪郭やアタックをきっちりと見せるバランス重視の傾向となりました。PADだけ、BOARDだけ、または両方などサウンドの好みで選択するのが良いでしょう。
テーブルやカラーボックスなどのチープな設置環境にシステムを置かねばならないときには余分な中低域の膨らみ感を抑え込めるので、そうした再生環境ではかなり有効であると感じました。振動を拾いやすいテーブルに設置したプレーヤーに対しても使ってみましたが、BOARDだけでもかなり低域方向のS/Nが改善され見通しが深く、落ち着きが出てきました。PADだけでも全体的に引き締まり、音像のグリップ感が増しますが、若干中高域のハリが増します。ダブルで使うとある程度バランスが整ってくる印象です。総じて、設置環境の悪影響を抑え込むために最適で、PADを細かく切ってデスクトップスピーカーに用いたり、PCの下に敷いたりという使い方もできるので、非常に便利なアクセサリーだと思っています。
オーディオ評論家:岩井喬
これまでとは違う新しい発想にもとづいて開発されたオーディオボードである。従来のように振動を抑えあるいは吸収するというのが防振あるいは制振であるとすれば、ここで基本になっているのは免震の発想だ。免震は本来ビルなどの建物を地震から守るための手法だ。これをスピーカー、特に大音量で使われることの多いモニターや楽器などに応用し、音のクリアネスを確保するために開発されたのがこのボードである。ボードとはいっても、実際にはボードとパッドの組み合わせになっている。まずボードの方は高密度ポリエチレン(HDPE)製だ。本来防音材や遮音材として知られているが、内部に独自の発泡率による気泡を含ませることで防振性も獲得している。コンサート用のスピーカーやギターアンプに敷くことで高い防振性を発揮するが、カッターナイフなどで切ることができるなど加工性にも優れている。また裏面には熱加工処理を施して、スリップを防止する。このHDPE製ボードをパッドの下に敷いて、効果を高める構成だ。
そのパッドの方である。両面に細かい突起を持った、一見何の変哲もないゴムパッドのように思えるが、その設計は周到だ。まず材質はラバーではなく、PVC(ポリ塩化ビニール)である。ラバーと違って経年劣化が非常に少ない。ボロボロになることがないわけである。このPVCパッドは3層になっていて、突起も表面と裏面では異なっている。中心部は2mm厚の板状で、下側つまり裏面にやはり高さ2mmの突起がある。表面にも同様に2mm厚の突起が出ているが、こちらは中心に0.8mm径のピンホールを持たせてあえて強度を下げている。面加重を一定として免震性能を確保する構想だ。このダンパーの強度を補うため、各突起をつなぐ形で0.8mm幅のブリッジ・ラインを入れている。力を分散させ、板面が曲がらないようにする仕組みである。さらに表面の突起は吸盤のようにRをつけてあり、荷重が増えたときの免震性能劣化を防いでいる。このような3層構造だが、構成は射出成型による一体型である。この複雑な形状を一体成型で実現するのはかなり難しい技術だが、それをクリアして一体型としなければ思うような効果は得られないという。なお突起の数は30cm四方で3481個あるそうだ。このパッドとボードの組み合わせは、スピーカーだけでなくアンプやCDプレーヤーなどさまざまな機器に使用することができる。耐荷重は1tというから、一般的なオーディオ機器では無制限と考えてよさそうである。
特に気になるのがスピーカーでの効果なので、これで試してみた。というのは、本来ならスピーカーも、床から浮かせてしまうのが理想なのである。ソリッドなボードやスパイクでは限界があるのだ。しかし安全性の点からそれは不可能であったし、もしこのボードが効果的ならば浮揚とは言わないまでもそれに近い形が実現できるのではないかと考えたからである。最初に乗せたのはそれほど重量級ではないトールボーイ型で、通常では低域に多少膨らみがある。ローコストなスピーカーにありがちな傾向だ。パッドとボードを組み合わせて設置すると、安定感に問題はない。そして音調には明らかな変化があった。低域の膨らみやにじみが解消して明快になるのは確かだが、エネルギーが消えてしまわないのだ。むしろ中低域から上では力感も向上する印象である。それがありきたりのゴム製品などとは違う点だ。そこで常時レファレンスに使用しているスピーカーでも、スパイクを外して試してみた。こちらはずっと重量もある。結果はやはり同じで、低域のかなり深いところまで一様にクリアになり、高域でも輪郭やディテールが明確だ。そして力感を損なわず、むしろ凹凸が深くなるのも意外な結果と言っていい。エネルギーを消さずに、音のにじみを取る。まさしく新しい成果である。
オーディオ評論家:井上千岳
この度、『オーディオアクセサリー銘機賞』を受賞したSonic Improvement for MUSICというオーディオボード。このアイテムは、もともとプロ向けの機材を多く取り扱っているエムアイセブンジャパンが発売しているもので、話題を呼んでいる。独自の発泡率による高密度ポリエチレンのボードと、梱包用のエアキャップを思わせる黒い軟質樹脂製のパッドからなる構成だが、一見、簡素にみえるこのルックスにだまされてはいけない。これは実に緻密な開発がなされた製品なのである。高密度ポリエチレンによるボードはかなり堅く、ちょっとくらいの力ではしならないほどだ。発泡率は最善の特性を保持するため、厳密に管理されている。丸い免震ダンパーを持つパッドは、2mm厚の円形のダンパーに0.8mmピンホールを開けた表面と、2mm厚のパッド、そして裏面の免震ダンパーという、3層構造というのがすごい。全てのダンパーに均一な面荷重がかかるようになっているのだ。30cm×30cmの製品で免震ダンパーは3481個となり、その耐加重は何と1トンにもおよぶ。この度、新装した我がレファレンス・スピーカーは、ウーファーとミッドバスのボックスが独立式で、それぞれユニット込み20kgと15kg弱といった目方を持つ。今回は、このスピーカーを用いて本ボードをいろいろと実験してみようと思い立ち、早速取り寄せた次第だ。まずは、Sonic Improvement for MUSICをウーファーとミッドバスの間へ挿入し、レファレンスとしているステンレス製のインシュレーターとの音を聴き比べてみた。ウーファーは幅23cm×奥行き45cmのため、2枚/chで使用する。その音は一聴してかなり大幅に変わった。当たりが少し柔らかになり、細かな情報を描き出しながら音の密度を高めるタイプの表現だ。ステンレスのインシュレーターはどちらかというと音を開放的に飛ばす方向なので、ある意味対照的な方向性といって良いだろう。
また、このオーディオボードはカッターなどで簡単に切って使えるというのも魅力のひとつだ。そこでウーファー用とミッドバス用にそれぞれ適当なサイズに切って使ってみることとした。3481個の免震ダンパーで1トンを受けるということは、1個あたり約287gが許容量ということになる。つまり、今回の試聴環境でいえば15kgほどのミッドバス箱には52〜53個、35kgがまるまるかかるウーファー箱には122個程度の免震ダンパーを切り出して使ってやればよいことになる。4点支持とした場合はミッドバスには1個あたり13個、ウーファーには31個の免震ダンパーがあれば大丈夫ということだ。ちなみに、実際にはそこまでギリギリではなく、倍程度を目安にやや多めのダンパー数とした方がいいだろう。このオーディオボードはこの免震ダンパーが肝となっているので、カットする際は免震ダンパーに傷がつかないように、あるいは免震ダンパーを横断する切り目が入らないように注意したい。上手く切ればちゃんと免震ダンパーのすき間を通せるようになっているから、慎重に作業して欲しい。正方形に切り出したら、ミッドバス用に24個、ウーファー用に41個の免震ダンパーを持つものができ上がった。なお、これは表面の免震ダンパーの数だ。表裏の免震ダンパーは場所的に互い違いとなっているから、ミッドバス用の裏面ダンパーは25個、ウーファー用は39個となる。実際に自分で切り出してみたが、少々時間はかかるものの大した力もいらず、カッター1本で作業することができた。
切り終えたSonic Improvement for MUSICをウーファーとミッドバスの箱に挟んで音を聴き始めたが、全面の場合とはもう一聴して表現傾向が異なっている。開放感が加味され、当たりのソフトさを残しながら闊達で抜けの良い音が響き渡ったのだ。しかもこれは、まだ置いてから1時間もたっていない状態での印象。三日間ほど経つと、これに爆発力やアタックの切れ味も出てきた。これは非常に有益な効果といっていいだろう。今回製作した免震ダンパー16個のセットは、免震ダンパー1505個のMサイズ1枚でも十分に製作できる。今回の試聴を行なった結果、これは大変な効果を持つオーディオボードであり、インシュレーターであると言えるだろう。
オーディオ評論家:炭山アキラ
表面に凹凸を持った黒い素材と、いかにも防音素材という趣のボードからなるSonic Improvement for MUSIC。実は、従来のボードで重視される制振/防振に加え「免震」というアプローチを追求して誕生したもので、その確かな音質改善効果で「オーディオアクセサリー銘機賞」の栄冠にも輝くなど、現在注目度急上昇中のオーディオアクセサリーだ。今回は、本誌「旬の音本舗・福田屋」でもお馴染みの福田雅光氏がこのオーディオボードを検証。数々のアクセサリーに触れる同氏は、このボードをどう見たのか。その感想をお聞きした一部始終をお伝えしたい。
昨年秋に発売された、ソニック・インプルーブメントのオーディオボード。起源を辿ると、元々は東日本大震災後に物流の現場で求められた「免震」という要素を満たすべく開発されたものだ。そもそも物流の現場では、長時間何十トンもの重量に耐えうる強度と湿気や温度、経年劣化もなく水にも強いということも求められる。つまり、ものの特性としては極めて高い性能が求められたわけだ。開発者は音響現場やエムアイセブンジャパンと関わっていたこともあり、「音響にも応用できるのでは」とこのボードを完成させた。特に免震については、オーディオファンにとって今後極めて重要なポイントになるだろう。「もし、これが優れた音響特性を実現するのであれば、オーディオファンは安心してオーディオを楽しむことができる」と考えた編集部は、日々、数々のオーディオアクセサリーに触れている福田雅光氏にじっくり使用してみていただくことにした。試していただいたのは、先日ラインアップに加わった90mmサイズのBLOCK。数日して、福田氏から「効果ありと、判断。地震対策にもメリットが大きい」というメールが届いたので、詳しい感想を聞きに福田氏の自宅へ向かった。
「今回は、ディスクプレーヤーの下に敷いて使ってみました。実際にプレーヤーの下に敷いてから効果が出るまでは最低でも1時間、ベストは1日といったところです。その結果、S/Nが高くてクセや混濁の少ない、低歪で透明度の高い効果がありました。バランスもほぼニュートラルかつ均質で、非常に素直な傾向です。中音のレスポンスも良好で、明快な立ち上がりと音に勢いが出てきましたね。低音に関しては締まりを効かせて分解力も高く、骨格がしっかりとしてきます」
Sonic Improvement for MUSICは、数をコントロールしたダンパーを表裏に持つPVCによる3層構造のPADと、独自の発泡率による高密度ポリエチレンを採用したBOARDを組み合わせた4層構造を採用。これらの素材は、他のオーディオボードやインシュレーターといったアイテムではなかなか見ることのできないものだが、確かな効果があったようである。ところで、ここまでは良いことずくめのこのボードに副作用はないのだろうか?
「PADとBOARDの両方を使用していると、音のフォーカスが少しゆるくなる傾向があるんですね。音像感が多少アンダーになる感じで、効きすぎることがあるようです」
どんなに優れた製品でも、それに伴う副作用があるのは、何も不思議な話ではない。ただし、ソニック・インプルーブメントが他のアクセサリーと大きく異なるのは、PADとボードが分離した構造になっていることである。つまり、どちらか一方を使用することもできるのだ。福田氏はそのメリットを次のように語る。
「PADのみを脚の下に敷くと、ぐっと音像感と立体感が出てきて、音のフォーカスも非常に明確になりました。音の躍動感もしっかり出てきますね。さらに解像度も増して、距離感も出てメリハリの効いた音になりました。私の環境で試す限り、副作用のようなものもありません。ですので、元々しっかりとしたオーディオボードやラックをお持ちの方は、PADのみで使用するのがいいと思います。もし、机の上や強度の取れない場所に機器をセッティングしている場合は、BOARDも合わせて使用するのがいいでしょうね」
さらに、柔らかい素材のため、サイズも用途に合わせてカッターで切ってカスタマイズできるのも特徴。つまり、ユーザーのアイデア次第で可能性を無限に秘めたオーディオボードであると言えそうだ。
最後に福田氏は、ソニック・インプルーブメントだからこその“もうひとつの魅力”をこう語る。「この製品は免震にも効果があるところが非常に興味深いです。震災の時、私の家も機器がラックから落下してしまうなど、散々な状況でした。でも、こうして使用してみる限り、ソニック・インプルーブメントは滑らずにしっかりと機器をホールドしてくれているように思います。これからのオーディオ機器のセッティングはこうしたことも非常に重要で、現時点では極めて貴重なアクセサリーだと思います」
オーディオ評論家:福田雅光
Sonic Improvement for MUSIC企画/販売:株式会社エムアイセブンジャパン 開発/製造:株式会社ビーベストワーク