Zynaptiq ADAPTIVERB RICHNESSコントロール

人工サステイン再合成

ADAPTIVERBの核となるBIONIC SUSTAIN RESYNTHESIZERは、トゲトゲしさ粗さのない新しいタイプのリバーブで、固有の共鳴周波数を持たず、その特性からソースと非常にうまく調和します。自動運転車の衝突を回避するための技術に似たAI技術を用いて構築されており、入力されるサウンドの倍音部分だけを再作成する様に学習をする数百に上るオシレーターのネットワークを使用してリバーブ・テイルを合成します。そのため、ノイズやトランジェントはリバーブに入力されず、マスター・バスやフィールド録音などの難しい素材を使用する場合でも自然なテイルを作成できます。

Zynaptiq ADAPTIVERB Bionic Sustain Resynthesizer微調整コントロール

ピッチ処理と合成パラメーター

これだけではありません。繊細なものからドラマティックなものまで音色の変更を可能にする、オシレーターを微調整するコントロールも搭載しています。

[SIMPLIFY]は、Bionic Sustain Synthが使用するオシレーターの数を、数百からスライダーの最大値の1まで低減します。音色が簡素化され、加算合成シンセの音に似た独特の「フレーバー」が生まれます。ただし、使用されている再合成エンジンの独自のデザインにより、[SIMPLIFY]は加算合成シンセに特有の「揺れ感」を生じさせません。[SIMPLIFY]はオートメーションも得意で、アンビエント・サウンドの作成にも最適です。

[RICHNESS]は、指定のインターバルの倍音をSUSTAIN SINTHのサウンドに取り込みます。これは、リバーブのフィードバック・ループの前または内部にピッチ・シフターを追加する場合と似ています。ただし[RICHNESS]は、ピッチシフトされたサウンドのコピーを追加するのではなく、オシレーターに[INTERVAL]で指定したインターバルまたはそれに近い他のオシレーターを励起させることで機能します。つまり、このインターバルの倍音の励起が強化されるだけで、新しいオシレーターは追加されません。これにより、さらに一層調和し、自然で透明なサウンドが生まれ、ピッチシフトによるノイズが生じるのを防ぎます。

[INTERVAL]では[RICHNESS]のインターバルを指定します。設定の選択肢は-12、-5、+7、+12半音および[DETUNE]設定(10セント)です。

[PITCH RANDOMIZE]はランダムなピッチ変調をオシレーターに追加し、非常に心地良い音響特性を持つアンサンブル・スタイルのシマー(揺れ効果)を付加します。

Zynaptiq ADAPTIVERBリバーブモデルセレクター

レイトレーシング・リバーブ

ADAPTIVERBにはさらに、先進のRAY TRACING REVERBモジュールが搭載されており、美しくスムーズで豊かなサウンドをもたらす非常に高密度でパーフェクトな拡散のリバーブを作成します。レイトレーシング・リバーブは、音波が辿る3D空間モデル内でのバーチャルのサウンド・ソースからバーチャルのリスニング・ポジションまでの進路をシミュレートすることで機能します。AIベースのADAPTIVERBは、個々の反響を実際に計算するのではなく、16,000に上るこのような経路の効果をシミュレートします。作成されるリバーブは全ての周波数にわたってリニアになり、SUSTAIN RESYNTHでプリフィルターされたサウンドの拡散や、HARMONIC CONTOUR FILTERを使用したポストフィルタリングに最適です。ADAPTIVERBの[REVERB]セクションはまた、一般的なオールパスフィルターをベースとするリバーブも提供します。このセクションにはBIONIC SUSTAIN SYNTHの出力を供給でき、入力セクションから直接供給したり、または両方を混ぜ合わせることで、最大限の柔軟性を提供します。

Zynaptiq ADAPTIVERB Harmonic Contour Filtering Amountコントロール

ハーモニック・コンター・フィルター(HCF)

ユニークなHARMONIC CONTOUR FILTERは、先行セクションの出力をポスト処理します。その一番の目的は、入力と調和しない音高のある成分をリバーブ・テイルから除去することです。たとえば、ソース・トラックにコード変更がある場合や、それがソースに「濁り」を生じさせたりする場合、ミックス内でうまく使用できるリバーブの量を制限するなどです。HCFはまた、テイルをソースにパーフェクトに調和するよう自動適応させます。負の値を適用すると、入力とリバーブの間の共通性を抑制して「ギャップのみを埋め」ます。HCFにはさらに[HOLD]機能が備わっており、現在のフィルタリング・エフェクトを「フリーズ」させてソースの音色/音調特性を別のリバーブに適用し、コンボリューションで作成される効果(から時間経過に伴う進化を除いた効果)に似たクロスフィルタリング効果を得ることができます。最後に、HCFは、バーチャル・キーボードでコントロールされる特定のピッチにリバーブ・テイルを選択的に適合するのにも使用できます。

Zynaptiq ADAPTIVERB Harmonic Contour Filter Keyboard Modeパラメーター

HCFキーボード・モード

HCFをキーボード・モードに切り替えると、コード保存とオートメーション用の5つのスナップショットを搭載した画面上の小さなキーボードで制御されるユーザー定義のピッチ・セットにリバーブを適合させることができます。「認める」ピッチを選択するだけで、エフェクト・パス全体が適合されます。ピッチ適合は、高精度フィルタリングまたはピッチ・クオンタイゼーションを用いて実行され、全ての不要な倍音を削除したり、認められたピッチへとずらされたりします。どちらの手法もドライ信号の処理にも使用でき、[REVERB SOURCE]と[REVERB MIX]を最小値に設定することで非常にクールなエフェクトを得ることができます。

Zynaptiq ADAPTIVERB Harmonic Contour Filter Track Modeパラメーター

HCF HOLDを使用したクロスフィルタリング

HCFの[HOLD]モードを使用して、ボイス色のリバーブ、ギターのようなディレイ、その他のクロスフィルタリング・エフェクトを作成できます。プラグインにサウンドを再生し、ADAPTIVERBのエフェクト・パスに伝送したい音が聞こえたらHCFの[HOLD]機能を有効にするだけ。その後、入力信号を入れ替えればクロスフィルタリングします。HCFは、取得したHOLDスナップショットに類似しない入力またはリバーブから全ての成分を抽出または削除します。この音源分離(デミックスとも呼ばれる)ベースの相似フィルタリング・エンジンは非常に正確で、ハムなどの一定音、単音、和音などをオーディオから除去するのにも使用できます。サウンド・デザインに非常にパワフルなツールです。

Zynaptiq ADAPTIVERB FREEZEスイッチ

ドローン、パッド、アンビエンスをFREEZEで作成

[FREEZE]入力を使用すれば、入力なしでも再生し、プリセットと共に保存することができる、驚くほど自然に変化するドローン、パッド、アンビエントなテクスチャが一瞬で作成できます。ADAPTIVERBをユニークなアンビエント・テクスチャ・シンセサイザーに変化させます。リバーブの内容を単にリサイクルする他の「無限リバーブ」的機能とは異なり、ADAPTIVERBでは、実際のリバーブ前の入力信号がキャプチャされ、この手の機能につきもののループ感やワーブル・ノイズを生じさせないシームレスな方法で再合成されます。このため、全てのプラグイン・パラメーターはFREEZE中もアクティブなままとなり、音のテクスチャの造形を楽しめます。実際には2基のフリーザーが並行して動作しており、1つはBIONIC SUSTAIN RESYNTHESIZERの入力を、もう1つは[REVERB]セクションの「ダイレクト入力」を処理しています。これらはサウンドとキャプチャする入力部分において若干異なっており、[REVERB SOURCE]パラメーターを使用して両方をミックスすることができます。もちろん、[SUSTAIN]またはRay Tracing REVERBの[SIZE]パラメーターを最大値に設定することで、より典型的な、フリーズされたリバーブの感じを得ることもできます。


代理店変更のご案内

2024年7月31日を持ちましてZynaptiq製品の取り扱いを終了させていただくこととなりました。今後のZynaptiq製品の取り扱いにつきましては、タックシステム株式会社様が2024年8月1日付で取扱を開始致します。
[代理店変更のご案内]