WORMHOLEドライ/ウェット・モーフィング・スライダー

ドライ/ウェット・モーフィング、FX BLEND

サウンドに強めの処理を行う場合、シンプルなドライ/ウェット・クロスフェードでは、思い通りの結果が得られないことがよくあります。エフェクトの強度を弱めたいのに、両方の音が同時に聞こえているような印象を受けるのです。これこそ、他のプラグインではドライ/ウェット・コントロールが用意されるところに、FX BLENDが装備されている理由です。FX BLENDモジュールは、2つのストリームの組み合わせに複数のアルゴリズムを提供することで、ドライ/ウェットの概念を拡張させています。従来のドライ/ウェット・クロスフェードに加えて、Zynaptiq独自の構造オーディオ・モーフィング・テクノロジーを2種類搭載し、入力とエフェクトの間のシームレスなモーフィングを実現。入力とエフェクトを融合させ、ひとつのサウンドへと変化させます。また、エフェクト信号をソースの「シルエット」にまとめ、より優れた解像度を実現し、この種の処理で得られる一般的な結果に比べてタイトなサウンドを提供します。ドライ/ウェット・モーフィングはまた、獣の鳴き声などのヘビーな処理がなされたサウンドにはるかに優れた「リアリズム」を与えたり、多種多様なハイブリッド・サウンドを作成したり、これまで聞いたことのないような超スムーズなトランジションを作成したりできます。

WORMHOLE WARP TILTトラックボール

WARP

WARPは、ユニークな局部的時間領域のスペクトル・ワーピング・エフェクトを実行します。それは、リング・モジュレーションと周波数変調、周波数シフトとフォルマント・シフト、モーダル・レゾネーター、スペクトル・マッピングといったエフェクトの間のどこかに存在するものです。WARPのサウンドは人を魅了する奇妙さががあり、常に明瞭ではっきりとタイトなサウンドをもたらします。さらには、不連続のアーチファクトを注入して宇宙を彷彿とさせる様々な特別効果を生成するモードも含まれています。

WORMHOLE PITCHおよびFREQUENCY SHIFTコントロール

SHIFT

SHIFTは、+/-4オクターブのピッチシフトと+/-4kHzの周波数シフトをひとつのプロセッシング手順に組み合わせています。
PITCH SHIFTER、ディレイ/グレインでもなく、FFT/フェーズボコーダー・ベースでもないユニークなデザインです。結果として、グレイン、フラム、エイリアスといった典型的なアーチファクトとは全く違う音となり、ピッチのジャンプやワーブルが非常に少なくなります。SMOOTH、TIGHT、DETUNE A、DETUNE Bの4種類の専用アルゴリズム・モードが用意されています。SMOOTHとTIGHTはその名が示唆するとおり最大48半音単位で上下にシフトします。DETUNEモードはどちらも+/-48セント単位で左右チャンネルを逆方向にシフトし、コーラスをわずかにずらすエフェクトに厚みを与える効果をもたらします。また、WORMHOLEのPITCH SHIFTERは、極めてきめ細かく、オーガニックで温かみのあるサウンドを提供します。
WORMHOLEのFREQUENCY SHIFTERは非常にクリーンで、キャリア/サイドバンド抑制96dBを誇り、エフェクトの有効範囲を大きく広げます。PITCH SHIFTER同様、FREQUENCY SHIFTERは完全にエイリアシング・フリーです。
SHIFTセクションにはユニークなDECAY TIMEコントロールが搭載されています。調整可能なデュレーションを上回る部分の信号成分を削除することで、極めてクールな方法でサウンドを整え、タイトにします。また、上にシフトさせると、より音の大きいミッドレンジにシフトする低周波の長いディケイタイムにより生じる「リンギング」効果を大幅に低減できます。これはまた、アナログ通信回路の「サギング(急低下)」をシミュレートしたり、音色の「揺れ」を加えたりする場合など、特別効果にも使用できます。

WORMHOLE ReverbセクションMix & Modeコントロール

REVERB

優れたリバーブ以上に優れたものとは?そう、それはもちろん「2つの」優れたリバーブ。だからこそ、WORMHOLEのREVERBセクションは、共通のコントロールを持つ2つのシンプルながら極めてみずみずしいサウンドを提供するランダム・モジュレーション・ホール・リバーブを搭載しています。ひとつはFX BLENDのに配置されており、ドライ/ウェット・モーフィングを使用する場合の典型的なリバーブとは大きく異なる効果を提供します。もうひとつは、FX BLENDのに置かれています。どちらかひとつを使用することも、あるいは両方を同時に使用することもでき、リバーブの柔軟性を最大限に活用できます。

WORMHOLE Delayコントロール

DELAY

他のプラグインにはプリディレイがありますが、WORMHOLEの非常にシンプルで極めて効率性に優れたDELAYはこのコンセプトの進化を示すものとなっています。エフェクト信号に遅延を加えるだけでなく、ドライ信号を遅延させたり、あるいはその両方を左または右チャンネルに対してその逆方向にエフェクトをかけることができます。これにより、サウンド・ステージのセンターを中心に完全にバランスのとれた非常に幅広いエフェクトを生み出すことができます。それもあっという間に。ピッチシフターのDETUNEモードとドライ/ウェット・モーフィング(DELAYがこのモーフィング結果をモディファイする)を組み合わせると、サブリミナルな効果から極めて粋なサウンドまでユニークな音を作成できます。

WORMHOLEのWARP、リング・モジュレーター、周波数シフト

WORMHOLEにはWARPとSHIFTセクションが搭載されています。WARPは、Zynaptiq独自の技術である時間領域の局部スペクトル反転(「周波数ワープ」)を実行します。このエフェクトは、不協和で金属のようなスペクトルを生成することができるリング・モジュレーターや周波数シフトに少し似ています。しかしこれは、そのどちらでも実現不可能な音色を生成する少し変わったアルゴリズムで、ユニークな新しいサウンドをパレットに提供します。SHIFTセクションは、ピッチ・シフトと周波数シフトが完全エイリアシング・フリーのひとつのプロセスへと組み合わせられており、ほぼパーフェクトなサイドバンドおよびキャリア抑制を提供します。

WARPモジュールと、より一般的なリング・モジュレーションや周波数シフト・エフェクトの違い(とWORMHOLEの優れた周波数シフトのデザイン)を示す例として、テスト信号を様々な設定の多様なプロセッサー・タイプに通過させた、一連のスペクトログラムのモードを紹介します。

リング・モジュレーション

オーディオ信号がリング・モジュレーターを通過すると、2つのいわゆる「サイドバンド」が生成されます。これらは入力信号のコピーで、モジュレーション・オシレーターの周波数により両方向に対称的にリニアな周波数シフトがなされています。ここでは、リング・モジュレーターのモジュレーター周波数に約300Hzを使用しました。160Hzから2900Hzへと2.3秒の間にリニアにスイープするサイン波を使用しています(左の図)。右の図では、2つのサイドバンドがはっきりと見て取れます(緑の線、赤の線は入力信号を示しており、図示の目的で重ねて表示されています)。2つのサイドバンドがリニアに周波数シフトするにつれ、サウンドに含まれる倍音は対数的に分散され、「金属的」だったり「洞窟」のようなサウンドが生成されます。これは、ボイスの処理に対する優れたエフェクトとして使用できます。

WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図2はリング・モジュレーション
テスト信号: サイン波スイープ
リング・モジュレーター

周波数シフト

周波数シフターは本質的にはリング・モジュレーターで、2つのサイドバンドのうち1つが抑制されており、信号が1方向にのみシフトするようになっています。そのため、リング・モジュレーションに比べてミックス内に占める空間の割合が低くなります。実際には、実現されるサイドバンドとキャリア抑制の量はデザインごとに異なり、ほとんどの場合可聴のままとなります。これは下のスペクトログラムで見ることができます。ここでは、有名プラグインを使用して上のリング・モジュレーターの例と同じように周波数を約300Hz上にシフトさせています。下のサイドバンドはいくらか減衰していますが存在しています。

WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図4は周波数シフト、上方向のシフト
周波数シフト(上向き)

ただし、十分なサイドバンド抑制は、ハイクオリティの周波数シフト、また、強めのシフトを行った場合にも一貫して有益な結果をもたらすために重要です。サイン波よりも複雑な信号では、これはより当てはまります。ここでは、2つのスイープするサイン波を、500Hzシフトダウンする同じ有名サードパーティ製周波数シフターにかけています。2つ目の図から分かるとおり、上のサイドバンドは抑制が足りず、クリーンさに欠ける結果となっています。また、2つのサイン波の下側がスイープの頭で反転しているように見えることにも注目してください。これは、信号が0Hz以下にシフトして「折り返」されている(エイリアシング)ためです。どちらのアーチファクトも分かりやすいようオレンジで表示されています。

  • WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図4は周波数シフト、上方向のシフト

サイン波が3つの場合(これでもまだボイスなどと比較するとずっとシンプルですが)問題はさらに悪化します。下のスペクトログラムには、3つのスイープするサイン波、および、同じサードパーティ製アルゴリズムを使用して+ 2000Hzでシフトされたサイン波が表示されています。

  • WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図4は周波数シフト、上方向のシフト

WORMHOLEの周波数シフター

対して、WORMHOLEの周波数シフターにはエイリアシングがなく、完璧に近いサイドバンド抑制となっており、下のスペクトログラムにもそれがはっきり示されています。不要なサイドバンドが一切ないことに注目してください。サイドバンドの減衰は非常に高く、スペクトログラムのダイナミクス表示範囲を超えています。オーディオの観点から言えば、これはよりクリーンなサウンドであり、幅広い用途に使用できることを意味しています。

  • WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図4は周波数シフト、上方向のシフト

WORMHOLEのWARP

WORMHOLEのWARPモジュールは、少し異なる動作となっています。下のスペクトログラムは、WARP DEPTH設定を25%、50%、75%、100%で処理したサイン波スイープを示しています。出力信号の構造がシンプルなリング・モジュレーションや周波数シフトの場合に比べて明らかに複雑になっており、また同時により「整然と」しており、バランスが取れた分配となっているのが分かります。出力にもエイリアシングがありません。また、出力成分が入力信号周辺にまとまっていることにも注目してください。これにより、非常にはっきりとしながら強力な処理がかかったサウンドになります。

WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図6はWORMHOLEのWARP 25%
WORMHOLE(Warp 25%)
WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図7はWORMHOLEのWARP 50%
WORMHOLE(Warp 50%)
WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図8はWORMHOLEのWARP 75%
WORMHOLE(Warp 75%)
WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図9はWORMHOLEのWARP 100%
WORMHOLE(Warp 100%)

POLESパラメーターを上げることで、オリジナル信号周辺でのこの収束をさらに強化することができます。同時に、モーダル・レゾネーターに似た音響特性を持ちながら時間が不鮮明にならない特定のピッチの認知を強化するのに役立つ一連の共振点が生まれます。下の図はこの効果を示しています。

WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図10はWARP 100%、POLES 50%
WORMHOLE(Warp 100%、POLES 50%)
WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図11はWARP 100%、POLES 100%
WORMHOLE(Warp 100%、POLES 100%)

最後に、TILTパラメーターは、変わったデザインのピッチ/フォルマント・シフトに似た処理を適用し、はっきりしたスペクトル成分を上下にシフトさせます。シンプルな入力に対しては、この回路のデザインは、下のスペクトログラムに示されるように、信号が(周波数を)垂直に反転して若干上下に移動する、ピッチシフトのようなエフェクトをもたらします。TILTに、「上」から少しエイリアシングが現れているのが分かります。TILTは粗さを生じさせて極端なサウンドになるよう意図的にデザインされています。

WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図12はWARP 100%、POLES 100%、TILT 100%
WORMHOLE(Warp 100%、POLES 100%、TILT -100%)
WORMHOLEをリング・モジュレーターおよび周波数シフトと比較。図13はWARP 100%、POLES 100%、TILT +100%
WORMHOLE(Warp 100%、POLES 0%、TILT +100%)

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ZAP III & DESIGN

WORMHOLEはZynaptiqプラグイン・バンドルのZAP IIIバンドルおよびDESIGNバンドルにも収録されています。

ZAP IIバンドルの詳細
DESIGNバンドルの詳細

Developer Interview

Denis Goekdag

ドイツで設立されたZynaptiq。不可能をサイエンスで可能とするScience, Not Fiction、そのスローガンを唯一無二のMAPテクノロジーで具現化するZynaptiq GmbHのCEO、Denis Goekdag氏へ起業から開発コンセプトまでを独占インタビュー。
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