—— 館内でしか聴けないFM放送があるそうですね
そうです。来場された方が、より大相撲観戦を楽しんでいただくためのFM放送が3チャンネル両国国技館内で流れています。どんな放送が流れているかと言うと、1チャンネルはNHK相撲放送の音声、2チャンネルはNHK相撲放送副音声の外国語放送、そして3チャンネル目が、僕達が制作している「どすこいFM」というオリジナル放送。音響室の前に設けてある放送用スペースに、女性アナウンサーや親方に来てもらい、NHKの放送とは異なる独自の実況と解説で館内の方々に楽しんでもらっています。
両国国技館の中にはFM放送用のケーブルが這わせてあるので、館内のどこでもこれらの放送が聴ける様になっています。要は放送にあたっての免許が要らないFM放送で、レース場や歌舞伎座などで流れている番組と同じ方式ですね。>
—— FM放送はStudioLiveで運営しているのですか
3つのチャンネルの音声は、1台のStudioLive 16.4.2だけで運営しています。FM放送自体はもう10年以上続いているので、最初は小型のアナログ・ミキサーを駆使して運営していたのですが、数年前にそろそろデジタル・ミキサーを導入しようということになり、いろいろ試した中から最終的にStudioLiveを選定しました。
入力ソースに関しては、放送に乗る前のNHK音声、英語放送の音声、僕らで拾っている館内のエアーの音、放送席のマイクが3本、ゲスト用のワイヤレス・マイクが2系統、SEの出力、あとは放送が始まる前に相撲関連の小話とかを流すためのCDとMDの出力とかですね。放送は3チャンネルともモノラルなので、英語放送の音声以外はモノラルで入力しています。それでも16チャンネルの入力はフルで使っている感じですね。
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—— 放送用としてStudioLiveを選定された理由は
両国国技館には大型のデジタル・ミキサーが入っていますし、これまでいろいろ使ってきたんですけど、音質的にも操作性の面でもなかなか満足のいくものが無かったんですよね。このクラスのデジタル・ミキサーとして、真っ先に選択肢として挙がるのは国産のものだと思うんですが、個人的に音色があまり好きではないんですよ。何かどんなに触っても音が変わらないというか。それに操作性の面でも、マニュアルを熟読しないと使うことができない。使える様になったとしても、バスを組むためにパソコンが必要だったりとか、とにかく操作性が直感的ではないんですよね。やはり僕達の様な現場では、ミキサーだけで瞬時に操作できるものでないと厳しいですよ。ですから以前、国産のデジタル・ミキサーを導入した時も、1ヶ月使ってこりゃダメだと諦めました(笑)。
しかしいつまでもアナログ・ミキサーを使い続けるわけにもいかないので、海外のメーカーとか何か新しい製品を出していないかと思っていろいろ調べていたんですよ。そんな時にYouTubeで見つけたのがPreSonusのStudioLive。確かNAMM Showでのデモ・ムービーだったと思うのですが、そのシンプルな操作性がいいなと思ったんです。見た目はほとんどアナログ・ミキサーで、これはマニュアルを読まずとも直感的に操作できるのではないかと。あとはプライスも魅力的で、音を聴く前にオーダーしてしまいました。
—— PreSonusは以前からご存知でしたか
FireWireのオーディオ・インターフェースなども使用していたので、もちろん知っていました。オーディオ・インターフェース内蔵のXMAXプリアンプやAD/DAもクオリティが良かったですし、周囲ではコンプレッサーの評価も非常に高かったので、StudioLiveの音質に関しても心配していませんでした。PreSonusの社長って、確かギタリストじゃないですか。だからだと思うんですが、音がほどよく抜けていていいんですよね。社長がキーボーディストだったら、また違う傾向の音だったと思いますよ(笑)。
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