北村一平

北村一平

東京交響楽団
コントラバス・フォアシュピーラー

5弦の低い音のピッチまでとても明瞭に聴こえ、音の散り際の粒子も本当に最後の一粒まで聴かせてくれる

 

僕はコントラバス奏者ですので、聴きたい音はかなりニッチな部分があると思っております。Hi-X60は低音単体を聴くと、倍音までとても細やかに聴かせてくれて、最高に心地よいものです。ただ、その倍音の音域の他の楽器が同時に鳴るとその楽器がフューチャーされる訳で、小編成なら問題ありませんが大編成の楽曲になると僕の聴きたいベースサウンドが単体で鳴っている時と違うものとして聴こえてきます。ただし発音とかバスドラムの軽快さが心地よい爽快感はむしろ際立って聴こえる。これはこれでとても面白く、興味深い感覚です。Hi-X65はHi-X60に比べ一聴地味なのかな?と感じたのですが、他の楽器が同時に鳴っても聴こえるんですよ、僕の聴きたい音色のベースが!また、5弦の低い音のピッチまでとても明瞭に聴こえ、嬉しくなってしまいます。そのバランス故にどんな編成のどんなジャンルの音楽でも違和感なくフィットしてくれると感じます。また、音の散り際の粒子も本当に最後の一粒まで聴かせてくれます。

制作の立場としてはHi-X60は空気感やプレイヤーの熱量といった部分まで素材間の違和感を非情なまでに炙り出してくれます。鬼軍曹レベルです。Hi-X65はその点、優しいお母さんの様に教えてくれます。Hi-X60は楽譜に赤ペンで、Hi-X65は黒の鉛筆でチェックが入れてある感覚です。聴こえ方のバランスはHi-X60はホールの客席、Hi-X65は舞台上の自分の場所、という感じです。どちらも正解であり何を大事にして何を創るのか、という違いが明確で、シーンによって使い分けたい気分です。Hi-X25BTは全体をガッと鳴らしてくれる感じで万人受けする、と言うかこういう感じの環境で音楽を楽しんでいる人が世の中では一番多いのでは?と思うのと同時に屋外等で外音に晒された時に楽曲の印象が左右されにくいなと感じます。どのモデルも作り手の血が通った暖かみや哲学を感じますが、それこそが音楽には必要不可欠な物です。アイテムから奏でられる音から影響を受けて演奏や嗜好に変化が生まれる、という循環が構築される幸せをこの3モデルはいずれも提供してくれると思います。


公式サイト
tokyosymphony.jp

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