The Tasting

Austrian Audio | The Tasting

マイクロフォンをテイスティング

ニュージャズバンドBLU-SWINGを起用しOC818/OC18でレコーディング。そのDAWデータを特別提供!さらにPolarDesignerプラグインでのポスト・プロダクションも体験可能

 

サウンドを体験

オーストリアのウィーンにて、一つ一つハンドビルドされたCKR12/CKR6カプセルを搭載するAustrian Audioのコンデンサー・マイクロフォン。卓越したサウンド・クオリティを持つこのマイクロフォンは、古くから音楽の都ウィーンでマイクロフォンを作ってきた熟練の職人の情熱が注ぎ込こまれた逸品です。繊細なピアノ/弦楽器の収録から爆音のアンプ・サウンドまでを正確にキャプチャーすることができるその高いスペック故に、”Brilliant all-rounder”と評されることの多いマイクロフォンでもあります。

それでは、実際のレコーディングで使用した時にどのようなパフォーマンスを発揮するのでしょうか。その検証のために「Austrian Audio ザ・テイスティング」プロジェクトはスタートしました。作曲ならびにバンドのディレクションはMine-Chang氏、エンジニアリングは森元浩二.氏に協力を依頼し、国内外で活躍する5人組のニュージャズバンドBLU-SWINGを起用しprime sound studio formにてOC818およびOC18を用いてリアルにバンド収録!そのDAWデータを特別提供します。

レコーディングはスタジオ常設のPro Toolsシステムで行い、通常の作業環境で2chへのミックスダウンを行なっておりますが、今回は特別に試聴用データとしてStudio OneソングおよびPro Toolsセッションも制作し、デフォルトのプラグインのみによる必要最低限のミキシング処理を施すに留められており、できるだけマイク本来の音が聴けるように仕上げられています。さらに、ポスト・プロセッシングでマイクの指向性を変更することができるAustrian AudioのフリーVST/AU/AAXプラグインPolarDesignerもインサートされており、自由にプラグイン設定を変更して指向性による音像の変化も体験可能です。

プロジェクト・インタビュー内では、それぞれのマイキング解説やステムミックスの視聴も可能です。是非、OC818/OC18マイクロフォンの持つ魅力を、トップエンジニアのコメント&サウンドでテイスティングしてみてください。


プロジェクト・インタビュー

作曲およびバンド・ディレクションを担当頂いたMine-Chang氏とエンジニアリングを担当頂いた森元浩二.氏にコンセプト、マイクのセットアップ、データの聴き所などをインタビュー。試聴用データを開きながらご覧ください。

—— 楽曲のコンセプトを教えてください

Mine-Chang:Austrian Audioというオーストリア国産にこだわって設立した音響メーカーのための楽曲ということで、オーストリアという国をテーマに設定しました。オーストリアといえば、ウイーンは音楽の都として有名です。オーストリア出身の重要な作曲家には、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナー、ヨハン・シュトラウス2世、マーラー、ベルクなどが挙げられます。そこで歌曲の王と呼ばれシューベルトの楽曲、夜と夢というドイツ語歌曲を参考楽曲としました。

ヴォーカルのYu-riさんにはそのようなテーマに素晴らしく合致した内容で作詞していただきましたが、聴きどころとしては同じ音形の繰り返しメロディーに対し、元の言葉のリズムが異なる単語を歌い方を工夫して上手に乗せてまとまりある表現にしている所かと思います。歌詞といえば、ウイーンは食べる方の菓子も有名ですが、Apfelstrudelというアップパイのような菓子が有名とのことで、オースリア、ウイーンを訪れる機会があれば1度味わってみたいと思います。

 

—— ヴォーカルはOC18のテイクを採用されましたね

 

森元:今回は、prime sound studio formのroom 1を使用してバンドの録音を行いました。ヴォーカルには、 booth AにマルチパターンのOC818と単一指向のOC18の2本を並べて立てて録りました。

録音したテイクを比較してみると、OC18の方が声の輪郭に縁取りがあるように感じられ、息遣いやニュアンスを多く捉えていると感じ採用しました。また、OC18の方がほんの少し歌が手前に来る感じがしますね。

—— ピアノはOC818をマルチ・マイクで収録されていますが

森元:ピアノはbooth Bを使用し、OC818を4本立てて収録しました。オンマイク用はハンマーの真上に、オフマイク用はピアノ蓋から50cm離れた所に広めの距離で立っています。

今回の曲はオンマイクがメインで、オフマイクは広がりを出すというサブの使い方になります。どちらのセッティングも指向性により、かなり音色が変わるのが変わりますので、曲調に合わせたサウンドをミックスの際に調整できるのがOC818とPolarDesignerの強みですね。

 

—— ギターはアンプに3本のマイクを立てられていましたが

 

森元:アンプはbooth Dに設置して、3本ともオンマイクのセットアップで、キャビネットのグリルから3cmでユニットのセンター・コーンの端を狙っています。役割としては、距離差とかではなく各マイクの持つキャラクターを混ぜるという使い方ですので、それぞれのトラックを聴いてもらえれば分かると思います。

OC818は今回使用した3本の中で一番レンジが広く、尚かつふくよかな音色がしており、それにダイナミック・マイクのアタック感を足しているイメージですね。また、ギター・アンプも指向性を変えることで捉えるニュアンスがかなり違うのを聴き取れます。

双指向性ではアンプの周りで鳴っている音は入らないので、マイク背後方面の反射が少なくできれば、よりダイレクトな近いサウンドを得ることができます。

—— ベースはラインとOC18の2トラックで収録されていますが

森元:アンプはbooth Cに設置し、OC18でのアンプ収録が音色の全体像で、ラインで芯を出しています。OC18はスピーカー・キャビネットから数cm離して、ユニットの中心から少し外側にずらした位置に立てています。

比較用に、定番マイクも立ててみましたがOC18の方が勝ってましたね。ラインとアンプは、ユニットとの距離もあり位相が合わないものですが、OC18は非常にミックスし易い音が録れます。セラミックのダイアフラムをショック・マウントしているという構造が、高音圧の音場でも、正確に音を捉えるということだと思います。

 

—— ドラムはM/Sも使用されていましたね

森元:ドラムはmain boothにセットアップしました。キックに関しては、OC18はフロントヘッドから20cm離したところに立てていて、ATM25がオンマイクで、e901は内部に入れています。ATM25がメインマイクで、e901でアタック感を、OC18でキック全体の押し出し感を出すために使っています。高音圧に強いOC18はキックの細かいニュアンスを逃すことなく、電気信号に変換することができていますね。

 

スネアはオンマイクで3本立てて、OC18をトップにSM57をトップとボトムに設置し、OC18のみ形状の都合で5cmぐらい離れて立てています。OC18はワイドレンジなのにアタックも録れています。今回はSM57を中心に、OC18の持つキレイな高音を混ぜて、アタックがあるけど、レンジが広いスネアの音色にしています。

タムはOC818を使いアタックと胴鳴りの両方を捉えています。指向性をハイパーカーディオイドからカーディオイドの間で調整することで、普通はEQでカットする胴鳴り部分の量の調整を、録れている情報量を削ることなく、アタックと胴鳴りのバランスを調整できます。

トップマイクにOC818を使うことで、皮ものと金物のバランスを指向性の調整で変化させることができます。それが録音後に調整できるのが素晴らしいです。

ルームマイクのOC818は、音源からの直接音と部屋の音を5バンドの指向性の調整で作れるのが素晴らしいです。低域は無指向として、シンバルがうるさければ、高域の指向性を背面にするなどEQやコンプでは不可能な音作りができます。

さらに、ドラムの近く1M位の距離で2本のOC818でM/S収録しています。M/S録音は録音後に左右の広がりを調整できる手法ですが、ナチュラルなサウンドのOC818はM/S方式に向いたマイクですね。ルームサウンドを録音する際によく使われる手法ですが、5バンドで指向性を変えた変化の方が得られるものが多いので、OC818を使ってM/Sを録るのはもったいないかなと思います。


使用製品

OC818

OC818

マイクロフォン

マルチパターン&デュアル出力

OC18

OC18

マイクロフォン

単一指向性コンデンサー

PolarDesigner

PolarDesigner

プラグイン

OC818用VST/AU/AAXプラグイン

Hi-X55

Hi-X55

ヘッドフォン

プロフェッショナル・オーバーイヤー

Hi-X50

Hi-X50

ヘッドフォン

プロフェッショナル・オンイヤー


プロジェクト・チーム

【BLU-SWING】

田中裕梨(ヴォーカル)、蓮池真治(ベース)、小島翔(ギター)、宮本“ブータン”知聡(ドラム)、中村祐介(作曲、編曲、プログラミング、キーボード)

BLU-SWINGはサウンドクリエーター、ボーカリスト、プレイヤーを含む5人組のバンドである。2008年にアルバム「Revision」でメジャーデビュー。このアルバムは主要レコード店においてクラブチャート1位、Jポップチャート3位を記録。国内外問わずライブアルバム、プロデュースワーク等、複数の作品をリリース。Bootie Brown(The Pharsyde)、Christian Urich(Tortured Soul)との海外アーティストとコラボレーション。リミックスアルバム「ARRIVAL」(2014)、ベストアルバム「SKY IS THE LIMIT」(2015)は、iTunes JAZZチャートアルバム1位を獲得。韓国やベトナムをはじめアジアでのジャパンフェスティバルへの出演や、ロンドン・ロイヤル・オペラハウスのコンサートマスター“ヴァスコ・ヴァッシレフ”のバックバンドを務めるなど国際的な活動でも知られている。2019年「BLU-SWING 10th ANNIVERSARY BEST」リリース。JAZZ、SOUL、ROCKなどジャンルを超えた極上のサウンドがここに!!
www.blu-swing.com
twitter | facebook

 

 

【音楽プロデューサー:Mine-Chang】

1999年より今井了介のアシスタントとして勤務する中で録音や作編曲およびプロデュース手法を学んでゆく。2005年より自身のトラックメイク・作曲・ボーカルディレクション・ミックスによる楽曲制作を開始。楽曲「Dream Land」(コカ・コーラ社CMに採用)、アルバム「Japana-rhythm」(オリコンチャートで1位)などをリリース。同時にミックスエンジニアとしても多くのアーティストのヒット曲に携わる。2013年よりprime sound studio form所属のフリーランスエンジニアとしても活動を開始しLittle Glee Monsterなどの制作に携わる。近年はTVCMやYoutube映像の音楽など活動の幅を広げ、須藤元気、(WORLD ORDER Youtube再生回数1億6千万回) トヨタ自動車、三菱自動車、JT、任天堂、音楽ゲーム(Cytus2 BGMなど)を手がける。
instagram | twitter

 

【レコーディング&ミックス・エンジニア:森元浩二.】

1986年にリットーミュージックのスタジオ、Avicスタジオ四谷でアシスタントエンジニアとして働き始める。翌年87年にLAを拠点に活動する益本一憲氏率いる、エンジニア集団サンセットミュージックに参加。益本氏のアシスタントとしてLAでの多くのセッションに参加しながら、国内7人の先鋭エンジニアのサポート録音エンジニアとして数多くのセッションに参加。多くの現場を経験することにより、録音の技術やスタジオ音響の事を勉強する。92年Studio Sound DALIを橋本まさし氏と設立。ケーブル、機材にこだわったスタジオスタイルは今も健在である。2002年prime sound studioの創設を主導。積み重ねたスタジオ現場のノウハウを詰め込み、設立から18年経った現在も最先端のスタジオであり続ける事を信念に運営をしている。参加作品はDA PUMP、Every Little Thing、浜崎あゆみ、AAA、三代目 J SOUL BROTHERS、E-Girls、ASKA、甲斐バンド、Acid Black Cherryなど数千曲になる。2003年に浜崎あゆみ「No way to way」2015年に三代目 J SOUL BROTHERS「Unfair World」でレコード大賞最優秀賞を受賞。

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