Softube x Drawmer

  

イギリスを象徴するブランドDrawmerは、約40年に渡って音響工学における最高品質と革新の代名詞となっており、実力者アイヴァー・ドローマー氏によって画期的な製品が開発されています。SoftubeとDrawmerは強固なパートナーシップを築いており、サイドチェーンやM/Sモードを追加したDrawmer 1973プラグイン・バージョン、そしてマスタリング用プリセットを追加したDrawmer S73プラグインをリリースしています。

 

〜 Drawmerプロダクト・マネージャー・インタビュー 〜

 

Drawmerの歴史について
Drawmerの始まりは1983年頃。アイヴァー・ドローマー氏はバンドで演奏しており、数多くのレコーディングとライブを行っていました。そこで彼が気になっていたことは、ドラムを録音すると必ずトラックの質が低下してしまうということでした。これはマイクのかぶりのせいです。そのためのツールはありましたが、期待するほどの効果はありませんでした。そこで彼はバンドを離れてDrawmer DS201を設計したのです。評判は瞬く間に広がり会社が設立されることになりました。1年も経たない内に自分のファクトリーを設け、以来長年にわたって約40種類におよぶ製品をリリースしてきたというわけです。

 

Drawmer DS201が際立っていたポイントは何だったのでしょうか
これは周波数を検知する史上初のゲートでした。それまでのゲートは常に閉じているか、ホールドとリリースを設定してエンベロープを操作するしかありませんでした。しかし、DS201には周波数検知部が付加されています。ここが特別なポイントです。これによってスネアやハイハットからキックを切り離し、完全に濁りのないドラムを録音できます。そしてDS221は、とにかくクリーンな働き者のコンプレッサーだったと思います。私が仕事をはじめた頃に活躍していた241と同様ですね。241は今もなお健在でクリーンに圧縮できる。それ以外の余分な機能はなく、自分の仕事をするのみです。

 

アイヴァー氏は現在もDrawmerの開発に関わっていますか
はい、彼が正しくないと判断すれば、製品を作らないか彼がサウンドと機能について納得するまでその製品がリリースされることはありません。単に十分であるというレベルの製品はなく、100%完全に正しくなければならないのです。以前、Drawmerのマーケティング担当者は、「Drawmer-ism(ドローマーイズム)」という言葉をよく使っていました。まだ誰も手にしていない何かを付け加えようと試みる精神です。例えば、新しい1978では、1台の1Uコンプレッサーに、世の中のあらゆるコンプレッサーよりも多くの機能が搭載されており、これは目標としていたことです。私達は、圧縮の形を整えるためのあらゆる機能が得られる、面白い何かを求めていました。しかし、Drawmerサウンドというものは無いと思います。クリーンで全ての周波数にフラットで応答でき、測定が容易であったり、明確に設定されていたりするようなサウンドはDrawmerのサウンドであるとは思います。しかし、Drawmerを特徴づけるサウンドがあるとは言えません。目標とするサウンドは製品毎に異なりますしね。

 

デジタル・コンプレッサーやプラグインという新しい世界をどのように考えていましたか
私達はデジタルについて綿密に調査し、DC2476という製品をリリースしました。これはマルチバンド・コンプレッサー、リミッター、EQ、複数の帯域幅に対応するマルチバンドの真空管エミュレーションを兼ねており、アイヴァーが自らコードを記述しています。彼は長年に渡って回路ブロックのモデリング方法を習得してきました。つまり、DSPに回路ブロックをモデリングする方法も身についていたわけです。また、2476は世の中に出回っているデジタル機器のうちで最もアナログなサウンドを作成できると見なされていたと思います。残念ながらRoHSによって製造を中止せざるを得なくなりましたが…。しかしながら、ここ何年にも渡ってアイヴァーは多数のプラグインを手掛け、コードはすべて自身で記述しています。

 

Softubeは1973を完全にマスターしました。初めて試した時に先ず頭に浮かんだのは、これは1973だということ。アイヴァー・ドローマーもこの製品を素晴らしいと評価している。

Softubeとの共同開発はどのようにして実現したのですか
MusikmesseでSoftubeメンバーと会い、Drawmerのユニットに基づくプラグインの開発について話し合い、1973をプラグイン化する案が浮上しました。フル装備のマルチバンドながら価格は通常のモノのブティック系コンプレッサー並みということで、高い評判を得てメディアで大きく取り上げられているところでした。Softubeはマルチバンドを手がけたことがなかったので、最初に1973に取り組んだことは有意義でした。

世の中には数多くのマルチバンド・プラグインが出回っていますが、どれもコントロールやグラフ、フィルターの形状などを盛り込みすぎて、まるで空間のコピーを見ているようでした。一方、1973のインターフェイスは非常に直感的であり、私達はこの方針で行くべきだと考えました。1973を見てみると、このユニットは3バンド・クロスオーバーに基づいていることがわかります。これは、私達がこの製品開発にあたって第一に求めたことでした。当社の製品設計者に渡された最初のスケッチは、文字通りA3用紙に2Uのバーが描かれているものでしたが、その後この設計者による製品企画書では3バンド・クロスオーバーになりました。私達は見事に成し遂げたと思っています。

SoftubeのDrawmer 1973を試してみて先ず頭に浮かんだのは、これは1973だということでした。とは言えPrism Soundの測定器ですべての特性、ニーの形状、アタック・タイムとリリース・タイムをチェックしました。そして完璧にモデリングされていることがわかり感動しました。アイヴァーもこの製品を素晴らしいと評価しています。彼は、正しく作られたプラグインであれば、ハードウェアと同じぐらい良い音を出すことができると常に考えてきました。彼は「プラグインだから駄目だ」という考えの人間ではありません。自身で数多くのデジタル・コードを記述しているので、ハードウェア製品の真のエミュレーションを作り出すことは可能であると考えています。

 

SoftubeのDrawmer 1973の特徴的なポイントとは
直感的に使えるという点だと思います。座ったままで、自分が行っていることを正確に把握できます。ベースをブーストしたり、中域のボーカルを持ち上げたり、それからAirコントロールを使ってハイ・エンドに輝きを加えることもできます。満足のいく結果をすぐに得られると思いますね。そして、このプラグインではハードウェアにはない、マスタリング・エンジニアが長い間行ってきた巧みな技を組み入れました。サイドチェーンや、ミックスの幅を制御できるM/Sモードが追加されています。M/S処理はハードウェアよりもプラグインで行う方がずっと簡単です。一式のコントロールでセンターとサイドを別々に圧縮できます。ソフトウェアならばセンターとサイドの位置が記憶されるからです。ハードウェアでは、同じことを行うのにコントロールを2回ずつ使う必要があります。プラグインを完成させるにあたり、価値のある追加機能だと思われました。

Bigはハイパス・フィルターをサイドチェーンに引き込みます。これによって、低周波数のキックやベースが過度に圧縮されなくなります。基本的にはポンピング防止のためのものです。マルチバンド・コンプレッサーではシングルバンド・コンプレッサーの場合ほど重要ではありませんが、これによって大きくて厚みのあるボトム・エンドが確実に得られます。Airは高周波数帯用のローパス・フィルターです。高周波数帯用なので、はるかに多くの高周波数成分を通過させることができます。皆さんご存知のとおり、大幅に圧縮すると、多くの高周波数成分が欠落してしまうことがあります。サウンドに少し輝きが欲しいときにAirをオンにすると、カチッとした硬質な感じが加わります。

 

本当に驚きました。初めてS73のベータを目の前にして試したプリセットはClarityでした。これを通じてミックスを再生してみると中身が1973だということが直感的にわかる。

SoftubeのDrawmer S73については
これは1973よりもずっとシンプルなもので、1つのノブを回すだけで結果が得られます。マルチバンド・コンプレッサーの仕組みを理解しておらず、マルチバンド・コンプレッサーをどう設定したら良いかわからないと思われる人は、S73を使うことで即座に結果が得られます。ノブ1つのコントロール・サーフェスながら、その中身はマルチバンド・コンプレッサーですから。普段私は非常に多くのコントロールを使いますから、ノブがたった1つしかないのを見てこれでは不十分だろうと思っていましたが、全てのプリセットを試してみて、設定の仕方を知らなくても1973のほとんどの設定に対応できると考えるようになりました。それですっかり驚いてしまいました。

 

キーロン・クラウ
Drawmerプロダクト・マネージャー

僕がDRAWMERの音に持っていた印象は、ハイがナローに落ちてきて、ローはあまり落ちないというものでした。それによって音が良い意味で沈んで強調されるのですが、まずこのプラグインを通してみての印象は、それをすごく忠実に再現しているなと感じました。ローにあるBIG、ハイにあるAIRのスイッチでエフェクトのかかり方が変わり、特にAIRの方はすごく効果的でしたね。例えば弦やギターなど、デュレーションの長い音や、デジタルのエレピやシンセに使うと、中域の存在感が上がってくるのがDRAWMERっぽいのかなと。 [レビュー記事の続きを読む]

藤原暢之(レコーディング/ミキシング・エンジニア)

 

Drawmerについて詳しくは、www.drawmer.comをご覧ください。

  • <Drawmer S73>
    Drawmerの3バンドFETステレオ・コンプレッサーをベースとしマスタリング用のサウンド・デザインを追加

    9,000円
  • <Drawmer 1973>
    アイバー・ドローマー氏自らが承認したDrawmer 1973マルチバンド・コンプレッサー

    26,000円