Transient Shaper

ミキシングにおいてトランジェント・シェイピングは極めて重要なテクノロジーですが、SoftubeのTransient Shaperは一歩先を行き、デュアル・バンド・プロセッサーを採用することでサウンドのトレブルまたはベース部分のみに作用するようサスティン・パラメーターとパンチ・パラメーターを別に設定し、残りには手を加えないようにすることができます。これによって、新たな可能性の領域が開かれます。

音楽のミキシングにおいてトランジェント・シェイピングは極めて重要なテクノロジーとなりました。サウンドの冒頭を鋭くしたり和らげたりする機能は、ディケイを長くしたり短くしたりする機能と同様に、非常に便利であることが明らかになっています。この機能によって各サウンドのミックス内でのサイズと位置が適正化されます。Transient Shaperはこの概念にもう一歩踏み込みます。類似する大半のツールでは、周波数範囲の全体を操作対象としますが、Transient Shaperを使うと、この他に高域または低域のみを操作対象とすることができます。

使用例
例えば、ドラムのオーバーヘッドでは、サスティン・ノブの値を上げ、周波数コントロールを「Wide」に設定できます。これによって同時にルーム・サウンドとシンバルが広がり、タムのサスティンとうなりが強まります。ただし、タムのうなりを強めたくない場合はどうすれば良いでしょうか。その場合は、サスティン・ノブの周波数コントロール・スイッチを「Hi」に設定します。こうすることで、サスティンはシンバルやルームなどの高周波だけに作用し、タムはそのままの状態が保たれます。このスイッチを「Lo」に設定すると、今度はタムのうなりだけが強調され、ルーム・サウンドとシンバルには作用が及びません。耳で確認してみてください。

パーカッション以外にも
デュアル・バンド操作によって、ドラムやパーカッションのサウンドに使うよりもずっと役に立つ場面があります。高周波のトランジェントが加わることで、ボーカル・トラックに鮮明さと存在感がもたらされます。これには周波数スライダーを「Hi」に設定してパンチの値を上げます。また、ヴィンテージな雰囲気をかもし出す、暗くて丸みのあるサウンドを作成するには、逆にパンチ・ノブの値を下げます。ピアノ、ベース、ギター、エレクトリック・ドラムにも使ってみましょう。Transient Shaperは幅広い種類のサウンドに対応します。

クロスオーバー周波数はユーザーによる選択が可能です。パンチの動作(高速または低速)も同様です。さらに、「Clip」という出力ディストーションのセクションも追加されています。

概要:

  • デュアル・バンドのトランジェント処理ツール
  • あらゆるサウンドのパンチとサスティンを追加または削減
  • 周波数スペクトル全体、高周波のみ、または低周波のみに作用
  • ユーザーが選択できるクロスオーバー周波数
  • クリップ・セクションで出力ディストーションを追加
Transient Shaperのデモ・ビデオ
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信号の一部分を分離または操作して、アタック/サスティンを変更するというユニークな機能がとにかく素晴らしい!

コーエン・ヘルデンス(ロサンゼルスを拠点に活動する、国際的なミキシング・エンジニア。複数のプラチナ・ディスクを獲得。ビヨンセ、リル・ウェイン、ミッシー・エリオット、ティンバランドなどのアーティストを手がける)

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Transient Shaperは、よく練られたプラグインです。十分なコントロールができますが、複雑ではなく、CPU不足にもなりません。デュアルバンド・アーキテクチャーによって、単なるドラム・プロセッシング・ツールの域を超えています。レベルに依存しない設計によって、微妙なものからあからさまなものまで、広範な色合いのダイナミック・プロセッシングが可能です。一度試したが最後、もうシングルバンドに戻ることは難しいと痛感するでしょう。

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